【FC東京】“城福流”が浸透中。ACLプレーオフに向けて急ピッチでチーム作りが進む

2016年01月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

走り込みの強度と量は、過去のキャンプと比較しても圧倒的。

ニューイヤーカップでは、水沼(後列最左)や駒野(前列左から2番目)など、多数の新戦力をテストした。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 今季新たに城福浩監督を招聘したFC東京は、18日から始まった沖縄・国頭合宿でふたつのテーマに挑んだ。新指揮官は、今キャンプの成果をこう述べている。

「まず、シーズンを戦うためのコンディション作りができた。システムをふたつ試せたことは大きい。さらに(スカパー!ニューイヤーカップの)3試合を戦い、かつ目指すトロフィーの重さは違うが、優勝したことは我々にとって小さな成功体験となったと思う」

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 ひとつ目のテーマとなったのは、年間を戦うためのコンディション作りだった。新たにフィジカルコーチに就任した池田誠剛コーチのもと、徹底した走り込みを行った。過去のキャンプと比較しても、その強度と量は圧倒的。下半身と心肺機能のレベルアップを目的に実施されたクロスカントリートレーニングは、その最たる例となった。日を追う毎に疲労の色は濃くなっていったが、チームの雰囲気は明るく、積極的にトレーニングに臨んでいた。
 
 そして、もうひとつのテーマが、戦術の落とし込みだ。午前をフィジカルトレーニングに費やした一方で、午後は城福戦術を身体に染み込ませていった。
 
 通例では2度の合宿を経てチームを作っていく。だが、今季は2月9日にACLのプレーオフが組み込まれており、チーム作りを早めなければいけない事情もある。まさにスピード勝負のなかで、城福流チームビルディングが行なわれてきた。
 
 ビルドアップの練習や、守備戦術も織り交ぜながらハードなトレーニングを課してきた。だが、第1次城福体制との違いも、ここでは見えてきた。
 
 前回指揮を執った08年から10年途中までは、叱咤激励しつつ、自らの声が通りやすいチーム作りをしてきた。しかし今合宿では、選手の声に耳を傾ける指揮官の姿が何度も見られた。選手やコーチングスタッフと積極的にコミュニケーションを取り、彼らの声をチーム作りにも取り入れていった。それが、チーム作りのスピード感を上げる効果を生み、4-3-3と4-4-2システムを併用可能なレベルまで引き上げた。
 
 ボールを動かしつつ、奪われたら高い位置で奪い返し、連続的にゴールへと向かう"アクション・フットボール"は形になりつつある。ニューイヤーカップ3試合を通じても、そうした場面が増えてきた。

 だが、城福監督は「俺たちが目指すところはまだ先にある。そこは選手とも確認できた。ここでチーム作りが終わりではない」と言う。悲願のリーグ制覇へ。首都クラブの「てっぺんを目指す戦い」は、まだ始まったばかりだ。
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