「最高じゃないですか」9月9日のドイツ戦をそう捉える森保監督の真意は?【日本代表】

2023年09月07日 増島みどり(スポーツライター)

「壊れて良かった」監督の意外な言葉

ドイツとの再戦で森保監督はどんなオーダー、戦術で戦うのか。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 早くも始まるワールドカップ2次予選(11月16日から)に向けて、9月9日の国際親善試合・ドイツ戦(FIFAランキング15位)と、同12日のトルコ戦(同41位)は日本代表にとって「現在地」を知るアウェー2連戦になる。2期目のスタート4試合を2勝1分け1敗(12得点・4失点)で終えた森保一監督(55歳)は、「個の力、チームの立ち位置、今後やるべき課題、全てをW杯優勝国にチャレンジして学べる。最高の強化試合」と、ドイツ戦から2026年W杯北中米年大会、さらにその先へと続く地図を描く(7月中旬にインタビュー)。

日本代表
2023年の日程
3月24日 ウルグアイ 1-1/国立競技場
3月28日 コロンビア 1-2/ヨドコウ桜スタジアム
6月15日 エルサルバドル 6-0/豊田スタジアム
6月20日 ペルー 4-1/パナソニックスタジアム吹田
9月9日 ドイツ/フォルクスワーゲン・アレーナ
9月12日 トルコ/セゲカ・アレーナ
10月13日 カナダ/デンカビッグスワンスタジアム
10月17日 チュニジア/ノエビアスタジアム神戸
11月16日 ミャンマー/パナソニックスタジアム吹田
11月21日 シリア/未定(アウェー)  

 森保監督はこれまで口にしなかった意外な言葉を使って、日本代表が26年W杯へ進む道を表現する。  

「(ここまでの4試合を振り返って)ある意味、壊れて良かったなと。もちろん積み上げてきたものを全部壊すのではないが、色々な選択肢を試すなかでノッキング(壁に当たる)するのもいいと思っていました。

成功体験の上積みだけでチームができれば理想的ですが、そんな平坦な道には絶対にならないし、もっと厳しい状況に臨むアジア予選、W杯本大会を見据えた時に、壊れたり、ノッキングして、できるだけお互いに修正点を広く、多く、深く共有できれば、厳しい戦いに必ず役に立つ。壊れたから修正し、進むべき、表現すべきサッカーの方向性が見えてきた」    

 3月はウルグアイ、コロンビアと南米の強豪に勝てず、そこから修正点や課題を共有した6月にはエルサルバドル、ペルーに勝利。新たな代表は成熟より、もう一度壁を這い上がる道を選んで今年前半4戦を終えた。    

 9日のドイツ戦を「最高じゃないですか」と言う。昨年のW杯で勝利した時とは異なり、吉田麻也や長友佑都といったベテランは不選出で、もちろん親善試合にW杯前と同じ十分な準備期間はない。
 
 一方、来年EURO2024の開催国となるドイツは苦しんでいる。今年はAマッチ1勝1分3敗と、直近の4試合は未勝利で6月はポーランドに0-1、続くコロンビアにも0-2と完封負け。日本戦には、ハンジ・フリック監督の去就がかかるとまで言われており、日本戦と、その後のフランスとの親善試合で浮上のきっかけを掴もうとしている。

 カタールとは違ったプレッシャー、メンバーで臨む今試合は、W杯(2-1)の再戦ではなく、まったく新しいチームがW杯優勝国からもう一度学ぶビッグチャレンジと監督は捉える。「最高じゃないですか」と答えたのは、より厳しい試合、さらに困難な状況が高いレベルへの成長をもたらすと想定しての言葉だ。

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