【岩本輝雄】レイソルが残留争いをしているのが謎。犬飼加入で守備はさらに充実。あとは“決め切る”だけだね

2023年09月04日 岩本輝雄

もっと点が入っていてもおかしくなかった

レイソルが日立台でマリノスを一蹴。隙のない守備は素晴らしかった。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第26節]柏 2-0 横浜/9月2日/三協フロンテア柏スタジアム

 レイソル対マリノスを現地観戦。久しぶりに日立台に来たけど、やっぱり雰囲気が良いよね。ピッチとスタンドのあの近い距離感。臨場感があって、盛り上がる。

 個人的にも思い入れのあるスタジアムの1つ。現役時代に、日立台ではよくゴールを決めた。ブーイングもあったけど、それもまた刺激があって楽しかった。

 味方でも敵でも、ファンやサポーターの声って、やっぱり選手にとっては原動力になる。それが近くで聞こえてくるからね。日立台、相変わらず最高です。

 試合はホームチームが2-0で勝利。下位に沈むレイソルが、首位に立っていたマリノスを一蹴した。

 リーグ最多得点を誇るマリノスの攻撃をシャットアウト。夏に加入したセンターバック犬飼の存在が大きいよね。彼が入ってからの5試合は2勝3分、失点はわずか2。チームは無敗を継続している。

 犬飼に加えて、ボランチの高嶺も守備で効いている。真ん中がより強固になってきた印象で、マリノスもやりにくかったんじゃないかな。

 そもそも、監督は"アジアの壁"井原さんだからね。僕も日本代表時代には本当にお世話になった人で、守備に関してはスペシャリスト。ソリッドかつ組織的なディフェンスは、まったく隙がなかった。

 2トップが相手のダブルボランチを背中で消しながら、相手のセンターバックに持たせて、パスコースを限定して追い込む。シンプルに蹴ってくれば、後ろがはねかえす。完璧にマリノスを研究して、実践していたと思う。
【動画】首位・横浜を撃破! 日立台を揺らした山田雄士のJ1初ゴール!
 攻撃に関しては、高い位置を取ってくる両サイドバックの背後を狙う。狙いすましたカウンターでチャンスを作り出す。スコアは2-0だけど、もっと点が入っていてもおかしくなかった。

 その意味では、レイソルの課題を挙げるとすれば、決定力かな。チャンス自体は十分に作れている。あとは決めるだけ。

 最前線には、パリ五輪世代で注目のストライカー細谷がいるのは心強い。彼が量産体制に入ればいいね。また、現代サッカーではサイドアタッカーがいかにゴール前に侵入して、仕留めるかがキーになっている。マテウスや、この試合でJ1初ゴールを決めた山田がどこまでフィニッシュに絡んで、決め切れるか。

 マリノス戦を見る限り、レイソルがなぜ今、残留争いをしているのかが不思議に思えるぐらいの内容だった。ここからまたグッと浮上していきそうな雰囲気がある。終盤戦に向けた戦いが楽しみだね。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた"40メートルFK弾"は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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