攻撃の中心であるからこそ――スパルタ斉藤光毅が”コウキ・ダービー”で滲ませた前向きな悔しさ

2023年09月02日 河治良幸

「点が取れる、アシストできるのが良いプレーヤー」

NEC戦、左サイドで起用された斉藤。(C)Getty Images

 オランダ1部リーグの第4節で、スパルタはホームにNECを迎えた。エールディビジでは唯一の金曜マッチ。首位を走るスパルタは斉藤光毅、NECは小川航基がスタメンに名を連ね、"コウキ・ダービー"として現地メディアからも注目を集めた試合は1-1の引き分け。二人とも攻撃の中心として存在感は示したが、ゴールは無かった。
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「全然ダメでしたね」

 斉藤は笑顔の中にも悔しさを滲ませた。定位置となっている4-2-3-1の左サイドで起用されたが、「なかなか仕掛けて抜ききれず、チャンスも作りきれなかった。課題だし、こういう試合で点が取れる、アシストできるのが良いプレーヤーだと思う」と振り返る。それでもスパルタのキーマンであることを改めて示した。言い換えれば、斉藤次第でチームの結果が変わりうるのは明らかだ。

 立ち上がりにドリブルを仕掛けようとしたところから、相手サイドバックのブラヤン・ペレイラに粘り強く対応されて、ボールを失ってしまったシーンがあった。すぐ切り替えて守備に行った斉藤は「最初やべっ、やっちゃったと思いました」と語るが、そうしたことで引きずる選手ではない。仲間たちからも信頼しているようで、サイドチェンジや縦パスで、斉藤に前向きにボールを持たせる意識がチームとして見られた。

 前半には中央に入る動きも多かったが「相手がブロック引いて守る形だったので。サイドから仕掛けたほうがいいとハーフタイムに監督から言われて。コウキに1対1で仕掛けさせろみたいな」と語る斉藤はペレイラの負傷で左サイドから移ってきたカルビン・フェルドンクを苦しめる。
 
 しかし、NECにロングボールを前線の小川が粘り強く繋いだ流れから、フェルドンクのクロスのセカンドボールをボランチのディルク・プロペルに右足のシュートを決められて、スパルタは追いかける展開に。

 斉藤は単独で突破を狙うだけでなく、左サイドバックのジャンゴ・ワルメルダムの攻撃参加を引き出したり、トリッキーなパスでチャンスを作ったが、得意のカットインからのシュートは出せず。「抜いても抜いても人がいたので。難しかったですけど、2枚目も見られるぐらい余裕を持って行かなきゃいけない」とNECの堅いディフェンスを認めつつも「警戒してきたことによって空くスペースもあると思うので。そこは仕掛けだけに拘らず、周りを見ながらやっていきたい」と前を向く。

 この日、最大のチャンスはCKからのヘディングだった。68分、クロスにファーで飛び込みながら合わせに行ったが、わずかにズレて左に外してしまった。キッカーがファーに合わせる形は狙いだという。「決めなきゃダメです。そこに入れればチャンスになるんですけど、ああいうところを決めないと」と斉藤は悔しがる。

 後半は左足でクロスを上げる場面も多かったが、なかなか味方に合わせきれず。もっとも惜しかった終盤のシーンに関して「最後は相手に当たったんですけど、結果的に良いクロスになった」と振り返る。しかし、「1対1をさせてもらってる状態の中で、ああいうクロスをどんどん入れて行かないと、チームがやってる、自分が任されてる役割として十分じゃない」と責任感を口にする。
 

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