【セリエA現地コラム】スクデットが遠のくインテル。マンチーニ監督は「前線で待っているだけでは何の役にも立たない」と攻撃陣を辛辣批判……

2016年01月28日 片野道郎

「50歳の私でも決められた」と嘆く指揮官。

マンチーニ監督(右端)は深刻な得点力不足を嘆く。はたして有効な手立てを講じられるのか。(C)Getty Images

「こうやって終盤にゴールをプレゼントして結果をドブに捨てるのはもう3度目だ。決めるチャンスは作っているのに、1試合に2点以上取れないのも問題だ」
 
 1月24日のカルピ戦(セリエA21節)、1-0でリードしながら後半ロスタイムにカウンターアタックから同点ゴールを許して引き分けに終わったインテルのロベルト・マンチーニ監督は、こう嘆いた。
 
「攻撃陣は組み立てからフィニッシュまでもっと仕事をしなければダメだ。前線で待っているだけでは何の役にも立たない。そして訪れたチャンスはしっかり決めなければならない。イカルディが外したシュートはありえない。あれなら50歳(実際は51歳)の私でも余裕で決められたね」
 
 18節までに9つにも上る1-0の勝利を積み重ね、年明けまで首位の座を保ってきたインテル。
 
 しかし、ここ3試合はサッスオーロに終了間際の失点で敗れ、アタランタとカルピには1-1の引き分けと1勝も挙げられず、首位の座をナポリに明け渡したばかりか、あっという間に6ポイントもの勝点差をつけられて3位タイに後退してしまった。
 
 不振の最大の原因は、マンチーニ監督もくり返し指摘する得点力不足。ここまでの21試合で2ゴール以上挙げたのがわずか3試合(1得点が16試合、無得点が2試合)という数字が示す通り、状況はかなり深刻だ。
 
 指揮官は開幕当初から、得点を挙げることよりも失点しないことを優先したチーム作りを進めてきた。それは21試合中12試合がクリーンシート、2失点以上がわずか3試合というディフェンスの堅さにしっかりと反映されている。
 
 試合を重ねて守備が安定するのに合わせて攻撃の連携が高まり、より多くの決定機を作り出して得点力も上がる。おそらくはそんなシナリオを頭に描いていたのだろう。
 
 しかし現実はその通りにはなっていない。
 
 1点は奪っても勝負を決定づける2点目が取れず、試合が進むほどにチームは焦りを募らせ、攻守のバランスを崩して前がかりになって、逆にカウンターから失点を喫するという負の連鎖が目立つようになってきているのだ。
 
 ウインターブレイク直前のラツィオ戦、1月10日のサッスオーロ戦、そしてこのカルピ戦と、ここ5試合のうち3試合も「終盤にゴールをプレゼントして結果をドブに捨てる」パターンが続いているのは、きわめて悪い兆候だ。

次ページアタッカー陣はパスを引き出す動きに乏しく…。

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