“もう1つ”のU-22日本代表。サバイバルレースとなるアジア競技大会でアピールできるか

2023年09月02日 松尾祐希

現状ではパリ五輪世代の2番手グループ

アジア競技大会に臨む大岩ジャパンのメンバー。

 生き残りを懸けたサバイバルレースだ。

 U-22日本代表が9月19日に開幕するアジア競技大会に挑む。同大会はオリンピックのアジア版で、サッカー以外の競技も実施されるなか、男子サッカーは五輪同様に23歳以下の選手と3名までオーバーエイジの選手が起用可能だ。

 今大会は新型コロナウイルスの影響で開催が1年延期となり、24歳以下の選手に出場資格が与えられているが、日本は過去の大会同様に五輪世代の選手で参戦する。

 中国の杭州で行なわれる今大会だが、メンバー選考は困難を極めた。理由は、直前まで来年4月中旬に開催されるU-23アジアカップの予選があるからだ。9月3日から13日の日程で、U-22日本代表はパリ五輪の予選を兼ねるこの大会に挑むが、さすがに同じメンバーでアジア競技大会に参戦するわけにはいかない。

 しかも、インターナショナルマッチデー外の大会となるため、Jリーグも含めて各国のリーグ戦は中断されずに開催されている。

 招集しやすい22歳以下の大学生のみでメンバーを構成する可能性も囁かれていたが、今回は22名中11名がJリーガーとなり、ブラジルでプレーするMF松岡大起(グレミオ・ノヴォリゾンチーノ)や、今夏に明治大からブレーメンに加入したMF佐藤恵允もメンバーに加わった。

 また、9名の大学生もうち7名がすでにJクラブへの内定を勝ち取っており、アジアカップ予選に参加しない選手を除いたなかでは、ベストなメンバーを揃えられたのは間違いない。
 
「勝利することが第一目的で、そのなかで選手がしっかりと成長してほしい。(今回のメンバーは)ラージグループの中にいますけど、コアグループにしっかりと顔を出してくれる選手を望みたい」と大岩剛監督が話した通り、現状ではパリ五輪世代の2番手グループ。言葉を選ばずに言えば、セカンドチームという立ち位置になる。だからこそ、求められるのはチームの優勝と個人の結果だ。

 ただ、選手によって評価基準は変わってくる。たとえば、海外組の佐藤と松岡は、個人で圧倒的なパフォーマンスを見せるだけではなく、チームといかに関わっていくかもポイントになる。大岩監督は彼らに期待を込めて、会見でこんな言葉を残した。

「(佐藤や松岡は)今までの活動に数多く参加してきた選手。我々のグループのやり方、ピッチでの役割を、(代表歴が浅い)選手たちに繋いでくれることを期待している」

 佐藤や松岡は昨年6月のU-23アジアカップに出場しており、多くの海外遠征で何度も招集を受けてきた。大岩監督が嗜好する前線からのハイプレスはもちろん、攻撃時は4-3-3、守備時は4-4-2という形の可変システムに対応できる術は持ち合わせており、指揮官の考えを落とし込む役割を担う立場になる。

 そうしたリーダーシップも評価の対象になるだけに、チームを優勝に導ければ選手として一皮剥けるチャンス。国内組のMF松村優太(鹿島)、MF西川潤(鳥栖)、DF馬場晴也(札幌)も含め、チームを引っ張る存在として期待したい。

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