「タケは孤独だ」不調のチームで久保建英が孤軍奮闘する状況にソシエダ番記者が懸念。途中交代の采配には苦言「最も頼りになる選手を下げるのは...」【現地発】

2023年08月30日 ミケル・レカルデ

「彼は何でもするし、何でもうまくこなせる」

ラス・パルマス戦でビッグチャンスを創出した久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 スペインが優勝候補の一角として乗り込んだ南アフリカ・ワールドカップでの出来事だ。下馬評では格下と見られていた相手に不覚を取った(0-1)初戦のスイス戦後、批判の声が渦巻いた。

 中でもやり玉に挙げられたのがこの一戦が主要国際大会での初のスタメン出場だったセルヒオ・ブスケッツだ。いくつものタイトル獲得に貢献し昨シーズン限りでバルセロナを退団したレジェンドも当時は21歳。多くの者は経験不足を指摘した。

 そんな中、擁護したのが、ビセンテ・デル・ボスケ監督で「生まれ変わったら、ブスケッツになりたい。何でもこなすし、常にチームを助ける準備ができている。実際、彼が良い状態にあるとき、サッカーはより流動的になる」とチームにとって重要な選手であることを強調した。

 その後、ブスケッツの貢献もあってスペインは初めての世界チャンピオンに輝くわけだが、このデル・ボスケの言葉は、ポジションが異なるとはいえ、今のレアル・ソシエダに当てはめると、ある選手に向けてのメッセージに聞こえる。そう、タケ・クボ(久保建英)のことだ。
 
 実際、彼は何でもするし、何でもうまくこなせる。しかしこのシーズン序盤、いくら奮闘しても、周りがついてこないため、違いを生み出す責任をすべて背負いきれない状況に陥っている。もちろんチームの未勝利が続いているといっても、開幕してまだ3試合しか消化していない。警鐘を鳴らすには早すぎる。

 しかし今度こそ初勝利を!と勇んで敵地エスタディオ・グラン・カナリアに乗り込んだ第3節のラス・パルマス戦も、引き分け(0-0)という不本意な結果に終わった。

 誰もがラ・レアルはもっと上へ行けると信じているし、ラス・パルマス戦にしても、相手に疲労の色が出始め、DFラインの背後にスキャンダラスなスペースが広がった後半、いくらか持ち直し、勝つチャンスもあった。しかし今のところ、ラ・レアルには何もかも欠けている。大半の選手はベストの状態からはほど遠く、一刻も早く目を覚まして反撃に転じなければ、手遅れになりかねない。
 

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