極上の一手だった反転トラップ。乾貴士ならではの高等技術で町田の守備陣をパニックに陥れた

2023年08月21日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

簡単そうで難しいテクニック

今季も清水でプレーする乾。先の町田戦ではスーパーゴールを決めた。写真:サッカーダイジェスト

 「乾マジック」と言ったら、おそらく本人に「単なるドリブルシュートです」と切り返されそうだが、2023年8月19日の町田戦で乾貴士が決めた同点弾は文字通りスーパーゴールだった。  

 1—2で迎えた61分、自陣で鈴木の縦パスを呼び込むと、トラップすると同時に反転。プレッシャーを受けながらもそのままドリブルで相手ふたりを置き去りにし、さらに絶妙のコース取りで町田の松井もかわしてシュートした。そのシュートはDFに当たりながらもゴールへと向かい、GKの頭上を越えてネットに吸い込まれたのである。

 ボールをもらってからゴールになるまでの一連の動きが全て美しいが、特筆すべきは反転トラップ。その1プレーで町田の守備陣をパニックに陥れたと言っても過言ではないほどの、ハイレベルな技術だった。

 その前に同じようなシチュエーションでヒールパスを失敗していたことが結果的に良かったかもしれない。あの振りがあったおかげで61分の場面でも相手がボールに食いつき、それで乾はヒョイっと反転できたとの見方もできる。
 
 いずれにしても、簡単そうで難しいテクニックだ。味方のパスの勢いを殺さず、敵ゴールに向かううえで極上の一手だったことは間違いない。あれをあの局面でさらりとやってのけるあたりは、さすが乾だ。

 プレミアリーグのウルブス戦で三笘が決めたドリブルシュートと同じくらい、この乾のゴールも素晴らしい。トラップをどこで、どうすべきか。全てのサッカー少年に見てほしいテクニックである。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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