マンCと同じく中東企業が所有。ビッグクラブへの道を歩むニューカッスルに、なぜ英国ファンは嫌悪感を抱くのか【現地発】

2023年08月21日 スティーブ・マッケンジー

プレミアリーグ第2節で激突

マンC対ニューカッスルは1-0で前者が勝利を収めた。(C)Getty Images

 プレミアリーグ第2節・マンチェスター・シティ対ニューカッスルを取材した。試合はフリアン・アルバレスのゴールを守り切ったシティが1-0で勝利を飾った。
【動画】アルバレスが決勝弾!マンC対ニューカッスルのハイライト
 プレミア王者であり、欧州チャンピオンにも輝いたチームと、近い将来にその座を狙っているチームの一戦との対戦はとても興味深かった。

 シティはUAEのアブダビのグループ、ニューカッスルはサウジアラビアのグループが所有している。どちらも中東の国がスポンサーになり、金満クラブと言えるが、イングランドのサッカーファンは両チームに対して異なる見方をしている。

 もともとイングランドでは、巨額の資金援助を受けているクラブは好まれない傾向にある。シティ対してはそれほど感じないが、ニューカッスルに嫌悪感を抱いている人は少なくない。おそらく、クラブに対してではなく、サウジアラビアで問題視されている人権軽視問題によるものだと思う。この大きな問題をスルーしたまま、クラブを買収したことにファンは納得していないのだ。
 
 逆に両チームの共通点で言えば、ともに下のカテゴリーのリーグを戦い、あまり成功したとは言えない時期を過ごしてきた点だ。もちろん、シティは近年、多くのタイトルを勝ち取っているが、1998年には3部で戦っていた。

 一方のニューカッスルは1954-55シーズンにFAカップのトロフィーを掲げて以降、その栄光を味わっていない。しかし、サウジアラビア人がクラブに多額の投資をして以来、着実にタイトルへの道を歩んでいる。彼らは賢明な買い物をし、ゆっくりとチームを築き上げようとしている。

 昨季はカラバオ・カップで決勝進出を果たした。リーグ戦では4位となり、21年ぶりにチャンピオンズリーグの出場権を獲得している。指揮官のエディ・ハウはジョゼ・モウリーニョやアントニオ・コンテのような派手さはないが、非常に有能な監督だ。

 今回のシティ対ニューカッスルは、とても激しく、チャンピオンズリーグのような見応えのある試合となった。プレミア王者相手に健闘したニューカッスルがシティのような地位を確立する日はそう遠くないのかもしれない。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

「ニューカッスルがリーグを制する」元マンC監督が大胆予想!古巣の連覇を止める根拠は?8月19日にいきなり直接対決

鮮烈2発のハーランドにペップがまさかのブチギレ!エースが"ガン無視"した公開説教はなぜ行なわれた?「ベルナルドに腹を立てたので...」

「全盛期のメッシを彷彿」「驚きの個人技だ」三笘薫の衝撃"3人抜き弾"に英メディアも驚愕!「180億円の値札が付くスターに...」
 

次ページ【動画】マンC対ニューカッスルのハイライト(「YouTubeで見る」から)

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事