【岩本輝雄のオタクも納得!】3連勝は素晴らしい結果だけど、中島や南野を“孤立”させていては未来がない

2016年01月20日 岩本輝雄

4-3-3は破綻していなかったが、全体的に急ぎ過ぎていた。

初先発・初出場の井手口(19番)は堂々としたプレーを披露。このレベルでも十分にやっていけることを証明してみせた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 大島の先制点は見事だった。足に上手くボールが乗っかった感じでボールがグンと伸び、まさにロケットのような軌道でネットを揺さぶる。シュートを打つ前の相手DFのかわし方も、彼らしい高いテクニックが凝縮されていた。

【リオ五輪予選PHOTOダイジェスト】大島、井手口のゴールで3連勝! 日本 2-1 サウジアラビア
 
 追加点を挙げた井手口は、19歳ながら堂々としていて、冷静なプレーが印象的だった。アグレッシブな姿勢でピンチを未然に防いで、2列目からの飛び出しも効果的だった。このレベルでも十分にやっていけることを証明する90分間だったのではないだろうか。
 
 PKで今予選初の失点を喫したとはいえ、しっかりと勝ち切ってみせる。これで日本はグループリーグの3試合すべてに勝利。勝点9のダントツの首位で決勝トーナメントに進出できたのは、素直に評価したい。素晴らしい結果であり、今後の戦いに向けて勢いがつく3連勝だった。
 
 一発勝負の決勝トーナメントは、間違いなく厳しい戦いになる。これまでのようにチャンスを作れないかもしれない。そこで重要になってくるのがセットプレーだけど、このサウジ戦を見ても、日本はセットプレーが大きな武器であることを改めて示したと思う。
 
 実際、前半に植田がCKから決定的なヘディングシュートを放っている。山中や井手口のキックは精度が高く、パターンも豊富だ。相手は警戒してくるだろうけど、それを上回る技術とアイデアでまたゴールを決めてほしい。
 
 セットプレーに見られる"引き出しの多さ"は、システムにも表われていた。サウジ戦ではいつもの4-4-2ではなく、アンカーをひとり置く4-3-3でスタートした。
 
 このチームはこれまでの活動でいろんなシステムを用いてきたから、選手たちもしっかりと準備できていたようだし、大きな破綻はなかった。唯一気になったのは、全体的にどこか急ぎ過ぎているように見えたことだ。
 
 高い位置で奪ったボールを、手数をかけずに素早く前に運ぶ。ショートカウンターはそれなりに脅威となっていたけど、もう少しピッチ全体を広く使ったポゼッションを意識して揺さぶりをかけられれば、より相手を消耗させられたのではないか。
 
 そこまでの完成度を求める必要はないかもしれない。大事なのは結果であり、それを確実に得ているのだからなんの問題もない。ただ、まだまだ高められる部分はあるし、そこを突き詰められれば、より盤石な戦いを見せられるはず。
 
 それは個々のパフォーマンスに関しても、同じことが言えると思う。
 

次ページより高い意識でプレーしてリオ行きの切符を掴めれば、それこそ理想的だ。

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