“世界でいちばん熱い夏”には届かなかったが…示した確かな一歩。このトキメキを止めるな!【なでしこコラム】

2023年08月13日 渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

日本のグッズを身にまとう外国人観客も

スペインに4発完勝。なでしこジャパンの快進撃は現地でも衝撃をもたらした。(C)Getty Images

 誰が言い出したのか。オーストラリア&ニュージーランドで共催されている女子ワールドカップで、なでしこジャパンが掲げたフレーズのひとつが、「世界でいちばん熱い夏にしよう!」だった。

 世代別代表を指揮していた時には、選手たちから"熱男"と親しまれていた池田太監督が率いた今大会のチームは、グループステージ(GS)を首位で駆け抜けた。

 9回目で初めて真冬の南半球で開催された女子W杯。日本はニュージーランドで戦っていたが、女子サッカーの文化がそれほど根付いていない地でも、確かに「nadeshiko」が浸透していった。

 GS2戦目のコスタリカ戦(2-0)の現地実況では、日本の右サイドを駆け上がる「シャミズ」という謎の選手が登場。「本当に誰のことなんだって。最初はまったく気づきませんでした」(清水梨紗)と、当人も困惑する状況だったが、GS3戦目で強豪スペインを4-0で撃破し、計11得点・無失点の圧倒的な戦績でノックアウトステージへ進んだ頃には、すっかりなでしこジャパンが現地でも定着してきた。

 スペイン戦とラウンド16のノルウェー戦の取材で、ニュージーランドの首都ウェリントンへ移動。イングランド出身という空港職員からは「日本にはときめいた。流れるようなパスワークだったよ」と褒められた。現地での見る目が変わったことを実感した。
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 3-1で快勝したノルウェー戦では、会場に日本のグッズを身にまとう外国人観客が増え、宿に戻ってテレビをつけてみれば、試合の再放送では流暢な言葉で選手名が紹介されていた。

 続くスウェーデン戦(1-2)で敗退となったが、「このチームが、すごく大好きで。1試合でも長くやりたかった」(清水)、「一緒にサッカーを楽しむことを今は優先しています」(山下杏也加)、「もう少しみんなとやりたかった」(熊谷紗希)など、選手たちの気持ちや一体感は試合からも伝わったはずだ。

 惜しくも準々決勝で敗れてしまったが、10月からはパリ五輪のアジア2次予選がスタートする。

 もちろん五輪では登録人数も違うし、今回のチームとはまったく同じではない。

 それでも「世代別代表はワールドカップが終わったら解散してしまいます。ただ、なでしこはワールドカップがあり、五輪もあり、大会が終わっても続いていく。継続も大切になってくる」という指揮官の言葉のように、今大会で見せた戦いを今後も継続していけるか。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト特派)

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