スウェーデン戦で突きつけられた現実。なでしこ宮澤ひなたがさらなる成長を誓う「もっと怖さを与えられるように」

2023年08月12日 西森彰

喧嘩四つの左サイド

大会通算5得点の宮澤。世界に与えた衝撃は決して小さくなかった。(C)Getty Images

 8月11日、オーストラリア&ニュージーランド共催の女子ワールドカップ・準々決勝で、  なでしこジャパンはスウェーデンに1-2で敗れた。今大会チーム最多の5ゴールで快進撃をけん引してきた宮澤ひなたの戦いも、ひとつの区切りを迎えた。

 この日のスウェーデンは、日本の左サイドに人数をかけてきた。今大会、日本が攻撃の起点としていたのも同サイド。言わば喧嘩四つ。宮澤は、ウイングバックの杉田妃和とともに、この最激戦区でのプレーとなった。

「難しい試合でしたし、相手が(日本の)左サイドに人数が多かった分、スイッチが入れられなかった。ハメ切れなかった。『なかなか、行けないな』というのがあって...。攻撃もやや急ぎ過ぎていた分、カウンターだけで、相手を揺さぶる時間が少なかったかなと思います」

 サイドでチャンスを作り、中央に空中戦で怖いストライカーがいる。これは、ラウンド16で破ったノルウェーも同じだった。しかし、似たようなタイプであっても、スウェーデンには、相手の嫌がるところに仕掛けていけるトップ下のアスラニや、プレーゾーンが広いボランチのアンイエルダールらがいる。これらが代わる代わる、日本の左サイドに侵入してきた。
 
「ボランチの選手、前の選手の距離感もありましたし、常に相手がいろいろな角度にいた。ひとつコースを消しても、もうひとつ、ふたつあった。自分たちもスライドできていたところはありましたが、ワンタッチで入れられると対応が一歩遅れて後追いになるシーンが多かった」

 前半は、耐える時間の長かった日本だが、ここを最少失点でしのぎ切った。そして、後半、池田太監督が遠藤純を投入して攻め合いに出る姿勢を示す。後半早々に相手のPKでさらにビハインドが広がる展開にも、なでしこジャパンは意気消沈することなく、主導権を奪い返しに出た。

「チームとして『まだ、勝ちに行くぞ!』という思いは最後までありましたし、交代選手が点を取ってくれた。チームとして勝ちに行く気持ちは強かったなか、こういう試合で勝ちきれないというのは、もう一歩足りなかったというところですし、女子ワールドカップの難しさだと思います」

 後半は、スイッチを入れるタイミングも生まれ、連動した守備でボールを奪い、ゴールへ向かうシーンも多かった。宮澤はそれを「最初からやり続けないと、相手にとっても怖くない。なかなか自分たちの時間を掴み切れなかったかなと思います」。

【PHOTO】なでしこJのスウェーデン戦出場16選手&監督の採点・寸評。植木はやる気が少し空回り。長谷川はチャンスがあっただけに決めたかった

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