指揮官としてJクラブを率いるのは今季が初めて。そんな黒田監督がここまで町田で重視してきたのは何より「ベース作り」だ。

「どういう守備をして、どういう攻撃をするのか。そのコンセプトを明確にして、こうすれば負けない、または勝ち続けることができるような確信を得られるまで、こだわって取り組む。それが我々のベースです」

　ベースがなければ負けた時に立ち返れる場所がない。それが黒田監督の揺るぎない信念だ。

「チームをひとつの組織として考えた時、必ず土台がしっかりしていないといけない。今の町田らしいサッカーを年間通じて進行していく。もちろん相手に攻略されるケースもあるので、さらなる武器を得たり、何か肉付けしたり、少しずつ幅を広げていく必要もありますが、一番大事なのはどれだけ頑丈なブレないベースを作ること。そこに尽きると思います」
 

　では、「町田らしいサッカー」とは？ インタビューでそう訊かれた黒田監督は「ひと言で言い表せない部分があります」と断ったうえで言葉を継ぐ。

「町田市民やファン・サポーターに夢や希望を与えたい。絶対に裏切りたくない。それが我々、選手、スタッフ間での合言葉でもあるし、そこに向けて犠牲心を持ってやっていきたい。１試合１試合魂を込めて、戦っていきたい。

町田は古くからサッカーのポテンシャルがある街。みんなサッカーが好きでサッカーを応援する体制、体質というのはありますから、その人たちが持つパワーを我々のチームに注いでもらいたい。

理想や上手いサッカーというよりもまずは結果を出す、J2で優勝する。勝利至上主義というわけではなくて、勝負のために、勝利のために、こだわる要素を増やす。そこに言及したいと思います」

　理想を追求せず、まずは目の前の試合で１勝。形から入るのではなく勝利という結果を積み上げていくことで自信を深め、それによって築かれるベースこそ頑丈でぶれないものと、黒田監督はそう言っているのではないか。いずれにしても、この指揮官の下で旋風を巻き起こす町田の強さは本物だ。

構成●サッカーダイジェストTV編集部

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2023明治安田生命J2リーグ第30節
FC町田ゼルビア-ジュビロ磐田
8月12日(土)18時キックオフ
町田GIONスタジアム
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