恐るべし、清水梨紗! ウイングバックにしてFWばりのゴールでノルウェーに甚大なダメージを与えた仕事ぶりに痺れた【女子W杯】

2023年08月05日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

ノルウェーが警戒した形で奪った得点の意味

見事な決勝点を決めた清水。この笑顔からも充実感が伝わってくる。写真:Getty Images

 2023年8月5日、女子ワールドカップを戦うなでしこジャパンが決勝トーナメント1回戦でノルウェーに3−1と勝利。相手の高さや5バックに手を焼く時間帯がありながらも、終わってみればグループC首位の貫禄を見せつけてのベスト8入りを果たした。  

 1-1に追いつかれてからはしばらく、ノルウェーにペースを握られた。相手守備時の5-4-1システムを崩せない日本はなかなか決定機を作れず、明らかに攻めあぐねていた。

 そんな展開の中で最高の仕事をしたのが、清水梨紗だ。50分、敵陣エリア内での混戦から相手のパスをインターセプトすると、そのままボールを持ち込んで冷静にシュートを決めたのである。

 それまで引いて守るサッカーがある程度機能していたノルウェーにとって、このゴールは痛手だった。ディフェンスでリズムを作っていた感のあるチームが自らのミスをきっかけに勝ち越しゴールを奪われたのだから。甚大なダメージを与えただろう点で、清水のゴールはまさに値千金だった。

 タフな上下動が求められるウイングバックの選手が、あの局面であの場所にいる。当の清水に言わせれば「前半から左サイドから良いボールがたくさん来ていたので、いつか自分のところに来ると思って、走っていました」となるが、ウイングバックにして、ゴール前に走り込める状況判断と運動量、度胸が本当に素晴らしかった。ボールを持ってからのアクションはFWばり。恐るべし、清水梨紗である。
 
 素晴らしかったと言えば、2-1とした後のゲーム運びもそうだ。ノルウェーが勝負を仕掛けてきた70分以降、なでしこジャパンはベタ引きをせず、むしろ持ち前のカウンターで仕留めたあたりが試合巧者だった。確かにピンチはあったものの、決めるべきところでモノにして突き放した点は少なくとも評価に値しただろう。

 81分に藤野あおばのスルーパスから宮澤ひなたが決めたゴールは、おそらくノルウェーがもっとも警戒していた形。だからこそノルウェーは立ち上がりから5バックで守っていたわけで、そうした背景があるなかで日本は自分たちの強みを見せつけた。これは、強いチームでないとできないことである。

 ベスト8の相手はスウェーデンとアメリカの勝者。どちらも優勝候補だが、恐れる必要は決してない。ここまでの戦いぶりから判断すれば、なでしこジャパンも優勝候補のひとつである。グループステージを全勝で突破し、ノルウェーを実力で粉砕。もはや相手がどこだろうと関係ない。頂点まで突き進むのみだ。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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