【現地発】武藤嘉紀のマンチェスター・ユナイテッド移籍。噂の信憑性は?

2016年01月17日 松澤浩三

様々な情報を総合的に分析すると今冬移籍の可能性は……。

1年目のマインツでここまで7得点・4アシストを記録している武藤。マンチェスター・ユナイテッドのチェックリストに入るまでに大きく成長を遂げた。(C)Getty Images

 今冬の移籍市場でマンチェスター・ユナイテッドが獲得に乗り出していると噂される武藤嘉紀。年末に本人が打診を認めたように、少なくともチェックリストには入っていると見られる。
 
 英国メディアには、「ユナイテッドは1200万ポンド(約20億4000万円)のオファーを出したが、ここまでのところマインツ側が固辞。だが、態度を軟化させるのは時間の問題だろう」という具体的な内容も出ている。

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 しかしながら、根拠を裏付けする情報を欠いており、さらに先日ドイツの『ビルト』紙の取材を受けたマインツのマルティン・シュミット監督は、現状では正式オファーが届いていないことを明かしている。
 
 実際、噂の確度はどれほどなのか。それを確かめようと高級紙『ガーディアン』でマンチェスター番を務めるジェイミー・ジャクソン記者に聞いてみた。ユナイテッド関係者はもちろん、ドイツの代理人にもネットワークを持つ同記者の回答は、「ここまでは大きな動きはない。冬の移籍はリスクも高いし、現状で可能性は低い」というものだった。
 
 今シーズンは武藤にとって欧州1年目。前半戦は17試合に出場して7得点・4アシストを記録するなど、数字上はブンデスリーガに見事に順応しているように映る。とはいえ、ゴールやアシストはすべて中堅やスモールクラブの試合に限られており、上位クラブ相手の試合では不発に終わっている。
 
 それだけに、このタイミングで、しかも開幕からパッとしないユナイテッドに移籍するのは、武藤にとって得策ではない。それならば、昨夏の時点でチェルシーに移籍したのではないだろうか。昨年5月にマインツ移籍が決まった際、『サッカーダイジェスト』の取材を受けた武藤は、チェルシーを断った理由についてこう述べている。
 
「いきなり高すぎるレベルに行くと、慣れるまで時間がかかってしまう。だから、着実にステップアップできる、コツコツとやっていけるチームを選ぶように心掛けました。(チェルシーへの未練は)まったくないです。とにかく、マインツで結果を残すことだけを考えます。そこでゴールをたくさん奪えれば、また良いお話をもらえるので。まずは自分を必要としてくれたチームに貢献したいです」
 
 とはいえ、もしかしたらこの半年で自信をつけて、一気にステップアップを狙おうという気持ちの変化が生まれたかもしれない。しかしながら、地に足をつけて将来をしっかり考えるタイプの男が、4年契約のわずか半年が終了した時点で、移籍を決断するとは考えにくい。
 
 さらに、マインツ側の事情もある。元来から冬の移籍市場での主力放出に消極的なクラブで、昨シーズンまで在籍した岡崎慎司にも、1月にプレミアリーグのクラブから打診があった際には即座に断っていた。
 
 これらすべての情報を総合的に分析すると、今冬の武藤のユナイテッド移籍の可能性は、高く見積もっても1割程度くらいだろうと推察できる。

次ページチェックリストには入っているが、優先順位は低い。

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