「心が煮えくり返りそうになる」準優勝の桐光学園、指揮官は2位の悔しさを肝に銘じ、主将は「日本一を取れるように」とリベンジ誓う【総体】

2023年08月05日 野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

「この悔しさを毎日の練習にぶつけて」

惜しくも日本一に届かなかった桐光学園。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[インターハイ決勝] 桐光学園 2(6PK7)2 明秀日立/8月4日/花咲スポーツ公園陸上競技場

 桐光学園(神奈川)は8月4日、インターハイ決勝で明秀日立(茨城)と対戦。延長戦を終えて2-2、PK戦で6-7と及ばず、2019年以来の夏の日本一は果たせなかった。

 前半11分に先制されると、同19分にも失点。2点ビハインドになったが、同32分に宮下拓弥のゴールで追い上げると、後半16分には松田悠世の得点で試合を振り出しに戻す。

 その後も、松田のドリブルや途中出場の齋藤俊輔の仕掛けなどで相手ゴールに迫ったが、勝ち越せず。地力を発揮したが、頂点には届かなかった。

 試合後、鈴木勝大監督は、敗戦への悔しさをにじませた。

「正しいのは優勝だと思う。祝福されると、心が煮えくり返りそうになる。頂点を目ざしてやっている。高校サッカーのゴールは、一番高いところに登ること。2位の悔しさを、喜んでいる声を、耳と心に刻んで明日からしっかりと努力していきたい」

 主将としてチームを引っ張ってきたGK渡辺勇樹は、前半の2失点を守備陣からすると「ありえない」と表現。応援してくれた人や得点を挙げた選手に「申し訳ない」と繰り返した。試合後には、「相手が金メダルをもらって喜んでいる姿を見て、気持ちを抑え切れなかった」と振り返った。
【インターハイPHOTO】最後はGK重松陽が渾身のセーブ!PK戦の末インハイ初優勝!|決勝 桐光学園2(6PK7)2 明秀日立
 夏の頂点は取れなかったが、冬の選手権に向けてまた精進するのみだ。

 鈴木監督は、選手たちのさらなる成長を促す。左右のサイドで大会を通じて相手の脅威になり続けた松田と齋藤に対しても、その実力を認めているからこそ、"合格点"を与える気はないようだ。

「松田と齋藤は、決勝をかいくぐれなかった。ジャッジや技術を、もう一段階上げていかないと、おそらく冬は勝てない。先頭を切ってチームを牽引していかないといないし、世代別代表などにも呼ばれるような、もっと自分をモチベートして力強くやってほしい。まだまだ、同程度の攻撃的選手は全国にいるので、もっと突き抜けるアタッカーに成長してほしい」

 渡辺は、準優勝の悔しさを、今後に活かす覚悟だ。

「日本一を目ざしたなかで、負けた。どのチームよりも悔しい思いをしたので、この夏、チームとしても個人としても強くなれるように、しっかりとチームを引っ張っていきたいです。

 1位に立つから意味があります。決勝戦の難しさや2位の悔しさを肌で感じたので、冬に向けて、この悔しさを毎日の練習にぶつけて、日本一を取れるようにチーム全員で頑張っていきたい」

 大きな悔しさを味わった桐光学園は、冬の頂点を取るための鍛錬に向かう。

取材・文●野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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