「ロッカールームが綺麗だと話題になるが…」英国人記者がなでしこJの戦いぶりを絶賛!しかし、唯一心配する点は?

2023年08月03日 スティーブ・マッケンジー

「宮澤にはビッグクラブが注視しているに違いない」

3戦全勝でGS首位通過を決めた、なでしこジャパン。(C)Getty Images

 イングランドのサッカーファンが好む皮肉の歌がある。これは通常、格下のチームのファンが、普通なら勝てないと思われるチームに勝利した時に歌われる。つまり、「(普段は格上の)相手は簡単だから、毎週対戦してやってもいいよ」というジョークの歌だ。
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 日本女子代表が女子ワールドカップのグループステージ第3節で、過去になかなか勝てなかったスペイン女子代表に4-0で圧勝。その時、私はこの歌を思い出した。日本は毎週、スペインと対戦できるのではないだろうか。

 なでしこジャパンは、スペイン戦で信じられないくらい良い試合をした。今大会最高のチームと評判にもなっている。規律正しくディフェンスし、相手にゲームをコントロールさせず、速攻でゴールを奪う。加えて、ファウルも少なくクリーンに戦い、相手を皮肉する振る舞いも一切しない。

 選手全員がチームに貢献しているのだから、個人名を挙げるのは難しいが、この試合で2得点の活躍を見せた宮澤ひなたは、洗練されたプレーを披露した。彼女はヨーロッパのビッグクラブから注視されているに違いない。
 
 しかし、そんななでしこジャパンにおいて、唯一心配なのは、このような力強い戦いぶりが大会の序盤に出過ぎてしまったことだ。グループステージは3戦全勝で首位通過。最高のパフォーマンスというのは、大会の後半に残しておきたいものだ。

 決勝トーナメント1回戦では、ノルウェー女子代表と対戦する。ノルウェーはフィジカルを活かしたプレーをする厄介な相手だ。しかし、今のなでしこジャパンに相手がどうこうと言うのは関係ない。自分たちのサッカーをすることだけに集中しているだろう。

 イギリスのメディアでは、なでしこジャパンの躍動ぶりではなく、チームのロッカールームが綺麗だという話題に執着している。しかし、今の彼女たちはその話題をパフォーマンスの影に置き始めている。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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