「なんてチャンスが少ない大会なんだ」過去に苦い経験をした本田圭佑が“4v4U10”を創設した理由「最悪、親が関与しすぎて敗戦になるルールも」

2023年08月01日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「失敗しても、負けたとしても…」

エキシビジョンマッチではカレン・ロバートの姿も。本田は子どもたちとの対戦で複数のゴールを決めた。写真:サッカーダイジェスト

 発起人・本田圭佑の下で創設された「4v4U10」とは、U10(小学4年生以下相当)の子どもたちが競う大会。4人対4人の10分1本勝負で、20秒のショットクロック(20秒以内にプレーを完結させる)を採用するなど、超攻撃的サッカーが展開される仕組みになっている。

 交代は自由で、ベンチには監督やコーチが存在せず、交代のタイミング、戦い方はプレーヤーに委ねられる。子どもたちが自ら考え行動する力を身に付け、未来のサッカースター候補を育成する狙いがこの大会にはある。ちなみに、全国大会は、予選リーグと決勝トーナメントの準決勝までが2023年12月24日と25日に、決勝とスペシャルマッチが12月26日に行なわれる予定だ。

 なぜ本田は「4v4U10」を創設したのか。本人の答は次のとおりだった。

「小学校4年の世代を自分のサッカースクールで見ていた経験から、彼らの全国大会がないことを知りました。U12の大会でみんな確かに全員プレーできちゃうんですけど、小学生の世代は1学年違うだけで体格の差がだいぶある。事実上、U12は5、6年生の大会。小学校3、4年の子が活躍できるような大会ではないと思って、じゃあ、彼らのために全国大会を作ろう、と。そういうところに至りました」

 そして本田は「ただ作るのでは意味がなくて」と言葉を続ける。

「現状、競技的にも新しいルール、大会としても新しい仕組みになっています。実力で、一発勝負で全国大会に出られるのはゴールド大会と呼ばれるもの。そこで優勝すれば無条件で全国大会に出場できます。ただ、これだけだとダメ。僕自身もU12の公式大会で予選を戦ったひとりなんですけど、あっさり敗戦した記憶があります。それで僕のU12の大会は終わりました。なんてチャンスが少ない大会なんだと」
 
 本田の狙いは普通の全国大会にすることではない。

「失敗しても、負けたとしても、次に勝てばいいじゃないかと、そういう子たちをひとりでも増やせるような大会にしたい。全国大会に出場できる48チームのうちゴールド大会から16チーム、残りの32チームはポイントで高い順にします。どういうことかというと、予選に参加してより上位に行けば行くほどポイントが加算される仕組みになっているので、何度もチャレンジできるわけです」

 なかなか結果を出せなくても、改めて挑戦できる場がある。2023年8月1日から11月30日まで開催される全国大会予選ラウンドでポイントを重ねていけば、ゴールド大会で優勝できなくても全国大会に出られる可能性があるのだ。

「もちろんお金がかかるので、全ての子どもたちにというのは実現しないと思います。ただ、サポーティブな家庭が日に日に増えているように見受けられるので、送り迎えとかは大変ですがチャレンジして欲しいと。すでに90ほどの大会(予選)がウェブに立ち上がって登録できる状態になっています」

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