スペインのプライドを極上テクニックで打ち砕く。宮澤ひなたのパフォーマンスは痛快そのものだった

2023年07月31日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

思い出される池田監督の言葉

スペイン戦で2ゴール・1アシストと出色の出来だった宮澤。写真:GettyImages

 女子ワールドカップのグループC最終節、なでしこジャパンが強豪スペインを4−0と撃破。サッカーはボール支配率ではなくゴールの数を争うスポーツだということを、この日のなでしこジャパンは存分にアピールしてくれた。

 立ち上がりからスペインにボールを持たれても焦れずに戦い、カウンターのチャンスが来たら一気に攻め込む。その戦い方が明らかにハマった結果、前半は3回の決定機で3ゴールと最高の展開になった。

 序盤は危険な位置で縦パスを入れられる確率が高かったが、時間の経過とともに林と長野の両ボランチがポジショニングを修正。その前のシャドーふたり、宮澤と猶本のプレッシャーの掛け方も徐々に良くなり、中央部の守りがだいぶ整理されたことで、スペインのパスワークを鈍らせた。

 正直、スペインがサイドから放り込むクロスにそこまで怖さはなかった。その意味で、前半でのなでしこジャパンの中央部を固めた戦い方は理に適っていた。林の粘り強い守備、カウンターの起点となった長野の切り替えの早さや遠藤の展開力以上に素晴らしかったのが、宮澤のチャンスメイクと決定力だ。
 
 千葉合宿での最終日、池田監督は女子ワールドカップで勝つために必要な要素として「少ないチャンスで決め切る力」を挙げていたが、その決め切る力をピッチで見せつけたのがこの日の宮澤だった。2ゴールともフィニッシュワークに至るまでのトラップは文字通り極上で、さらに植木の得点もアシストと、自慢のテクニックでスペインのプライドを打ち砕いたパフォーマンスは痛快そのものだった。

 3−0で迎えた後半はシステム変更(3−4−2−1から5−4−1に)の影響もあって、1トップとボランチ間のスペースを頻繁に使われたなでしこジャパンに前半ほどのキレはなかった。それでも、結果は4−0。グループステージ3連勝、しかも総得点11、失点0と申し分のない内容で首位通過した事実は見事というしかない。

 パナマとの親善試合で中途半端に映った縦パスの意識をザンビア戦で十分に見せつけ、続くコスタリカ戦ではザンビア戦でさほどハマってなかった前線からのプレスを改善。そして格上と目されたスペイン相手に"サッカーの本質を見せつける"など、試合をこなす度に確かな成長を示すなでしこジャパンがここからどんな戦いを披露するのか。  

 ノルウェーとの決勝トーナメント1回戦(8月5日)はやはり試合の入りが何より重要だろう。スペイン戦と同じく焦れずに戦い、決めるべきところで決める勝負強さが間違いなく求められる。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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