水戸加入内定後に味わった悔しさ――。大津の10番・碇明日麻はチームを勝たせる選手になって冬の大舞台に戻ってくる【総体】

2023年07月31日 松尾祐希

PK戦までもつれ込む激闘の末に敗戦

市立船橋戦で同点ゴールを挙げた碇(中央)。素早く反転して左足のシュートを決めた。写真:松尾祐希

[インターハイ2回戦]市立船橋2(8PK7)2大津/7月30日/忠和公園多目的広場B

 一度は逆転し、PK戦でも9人目まで互いに譲らなかった。しかし――。1年生DF村上慶のシュートがバーを叩いた瞬間に敗退が決まると、大津の10番を背負う主将・MF碇明日麻(3年)は視線をピッチに落とした。

 7月30日に行なわれた令和5年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技の2回戦。プレミアリーグ勢の対決となった市立船橋と大津の一戦は、前者に軍配が上がった。

 試合を振り返れば、どちらが勝っても不思議ではなかった。序盤から一進一退の攻防が続くなか、市立船橋が前半23分にFKから先制点を挙げる。そこから大津は、後半に巻き返し、後半6分に碇、16分には左ウイングバックの田辺幸久(3年)と立て続けのゴールで試合をひっくり返した。
 
 あとはリードを守り切るだけ。しかし、同21分に市立船橋の左SB内川遼(3年)に40メートル弱の位置から目の覚めるようなロングシュートを叩き込まれ、試合を振り出しに戻された。その後は得点を奪えず、最終的にPK戦で敗北。2点目を許すまでは流れを掴んでいただけに、悔やんでも悔やみ切れない負け方だった。

「やっぱり、勝ち越した後にそこから追いつかれた。そこが自分としては1番の課題。無失点でいこうと話していたけど、先制点を取られてしまったし、まだまだ守備の部分でできることがあったと思う…」

 試合後、碇は言葉を振り絞るようにして敗戦の弁を述べた。キャプテンとしての責任、10番としてチームを勝たせられなかった後悔。怒りの言葉からは、様々な想いが交差しているように見受けられた。

 同点弾を決めた場面では、混戦でも慌てず、素早く反転して左足のシュートを決めたが、結果には結び付かなかった。試合全体を通じても相手のマークに手を焼くなど、圧倒的な存在感を示せたとは言い難い。挟み込んできた相手のCBとボランチにパスコースを消され、2シャドーの一角で思うようにボールを受けられなかったからだ。

「最初は苦戦した」と振り返った通り、特に前半はスペースがない状況。見せ場は限られ、空中戦でしか相手の脅威になれなかった。
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