きっかけは三笘薫。ぐいっと一歩前に出る尚志の安斎悠人は、厄介なドリブラーに変貌を遂げつつある【総体】

2023年07月30日 安藤隆人

自分の武器と向き合い、磨き続けてきた

丸岡戦で2得点・1アシストの安斎。絶大な存在感を放った。写真:安藤隆人

[インターハイ1回戦]尚志 7-1 丸岡/7月29日/東光スポーツ公園球技場B

 プロ注目のサイドアタッカーが初戦でいきなり見せた。優勝候補に挙げられる尚志の左サイドを司るMF安斎悠人は、インターハイ1回戦の丸岡との一戦で、試合開始を告げるホイッスルからエンジン全開だった。

 2分にFW桜松駿が先制点を挙げると、直後の3分には相手サイドバックの背後を取ってドリブルを仕掛けた安斎は、鋭い切り返しから中へパス。このパスから最後はFW山本仁が決めてすかさず追加点。

 いきなり結果を残すと、その後もボールを持ったら迷わず仕掛けるだけではなく、ディフェンスラインやボランチの立ち位置、目線を見ながら時には背後を狙うプレーを見せる。

 16分には左サイドでボールを受けると、高速カットインでDF3人を揺さぶってから、右足インフロントでゴール右隅に鮮やかなミドルシュートを突き刺した。直後の18分にも背後に抜け出してボールを受けると、冷静にゴールに流し込んだ。

 前半だけで2ゴールと1アシスト。29分にMF藤川壮史が決めて、リードを4点に広げたことで、安斎は前半でお役御免の交代となった。
 
「相手が2、3枚来るようになっても構わない。僕の武器はドリブルだけではなく、引きつけてパスも出せるし、ワンツーや預けてから抜け出すこともできる。駆け引きは意識していますし、僕が2、3枚剥がすことができれば、味方が残り6、7枚の相手を崩せば良くなる。そう言うところで常に違いを出そうと思っています」

 試合後、安斎はこう力強く語った。彼が持つ自信の裏側には、きっちりと自分の武器と向き合いながら磨き続けてきた事実がある。

 安斎は7月9日のプレミアEAST第11節の柏レイソルU-18戦で右太腿裏を肉離れする怪我を追い、しばらく離脱していた。ちょうどプレミアEASTが中断期間に入るタイミングだったため、この時間を活用して、リハビリに専念するだけではなく、自身の武器のレベルアップを図っていた。

 意識をしたのは上半身の筋力アップだった。怪我をする前から、自分のドリブルを研究すればするほど、上半身のパワーが足りないことを感じていた。きっかけは、日本を代表するドリブラーの三笘薫のプレーだった。

「三笘選手は相手の懐やボックス内に入っていく時に、腕を使って、グイッと相手を抑え込みながら前に出ていた。そのプレーを見るたびに、『それがないと僕も上にはいけない』と感じたんです」

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