個に目を移せば特筆すべき点もあったが
右ウイングバックの清水がチームに上手く生かされているかと言えば、そうではない印象も。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)
7月14日、なでしこジャパンがMS&ADカップ2023でパナマ女子代表に5−0と勝利。女子ワールドカップ(7月20日に開幕)に向けて弾みをつけたとの見方ができる一方で、不安を残すパフォーマンスだったとも言えた。
評価すべき点はもちろんあった。複数の得点に絡んだ長谷川は持ち前のテクニックと展開力を披露し、同じボランチの長野も優れた判断力と足技で存在感を示した。さらに右ウイングバックの清水もタイミングの良い攻め上がりから技ありシュートを決めるなど、個に目を移せば特筆すべき点はあった。しかし、である。
チームとして見た場合、どうだったか。例えば攻撃面ではパスミスが多く、守備の局面では前線からのプレスがなかなかハマらない。力量的に格下のパナマが相手だから課題の見えにくい試合になったかもしれないが、決して称賛できるような内容ではなかった。
気になるポイントのひとつが、裏抜けの少なさ。ウイングバックやCFがボールを持ったタイミングでシャドーなどが敵最終ラインの裏を突くような動きがあまりなく、チームとして奥行きのある攻撃を繰り出すシーンは限られた。オフサイドになってもいいから相手DFを揺さぶるアクションをより精力的にすべきで、それが見られなかった点で物足りなかった。
気になるポイントのもうひとつが、ウイングバックのポジショニング。局面に応じて中に絞ってもいいのに、サイドに張り付いている場面が多すぎた。両サイドの選手があれだけ開いていると、センターを固めるシャドーやボランチが守る範囲は必然的に広くなってチームとしてプレスをかけにくくなる。前線からプレスがハマらなかった原因も、きっとウイングバックのポジショニングにあった。
評価すべき点はもちろんあった。複数の得点に絡んだ長谷川は持ち前のテクニックと展開力を披露し、同じボランチの長野も優れた判断力と足技で存在感を示した。さらに右ウイングバックの清水もタイミングの良い攻め上がりから技ありシュートを決めるなど、個に目を移せば特筆すべき点はあった。しかし、である。
チームとして見た場合、どうだったか。例えば攻撃面ではパスミスが多く、守備の局面では前線からのプレスがなかなかハマらない。力量的に格下のパナマが相手だから課題の見えにくい試合になったかもしれないが、決して称賛できるような内容ではなかった。
気になるポイントのひとつが、裏抜けの少なさ。ウイングバックやCFがボールを持ったタイミングでシャドーなどが敵最終ラインの裏を突くような動きがあまりなく、チームとして奥行きのある攻撃を繰り出すシーンは限られた。オフサイドになってもいいから相手DFを揺さぶるアクションをより精力的にすべきで、それが見られなかった点で物足りなかった。
気になるポイントのもうひとつが、ウイングバックのポジショニング。局面に応じて中に絞ってもいいのに、サイドに張り付いている場面が多すぎた。両サイドの選手があれだけ開いていると、センターを固めるシャドーやボランチが守る範囲は必然的に広くなってチームとしてプレスをかけにくくなる。前線からプレスがハマらなかった原因も、きっとウイングバックのポジショニングにあった。
熊谷の両脇を固めるCBふたりが組み立ての局面で効果的にボールを運べないのも気になった。南も石川も高橋もポジションが低く、結果的にゲームメイクを長谷川と長野らボランチに頼る形になってしまったのは残念。CBがビルドアップにより絡めれば、ボランチの負担は減るし、ウイングバックも高い位置から攻撃を仕掛けられる。3-4-2-1システムで攻撃のクオリティを高めるうえでCBが担う役割はかなり重要だが、パナマ戦での南、石川、高橋の働きぶりは厳しい印象だった。
CBに関して言えば、ウイングバックが攻め上がった後のカバーリングも微妙だった。例えば右ウイングバックの清水がオーバーラップしたら、その裏にできたスペースを右CBの石川が埋め、と同時に熊谷、南が右にスライドし、遠藤か長野あたりが左CBのポジションに入るべきなのだが、そうした動きがほとんどなかった。このスライドのなさは、正直、ワールドカップを戦ううえで致命的な弱点になり得る。
厳しい見方かもしれない。ただ、選手たちはワールドカップで「優勝を目指す」と言っている。そうなら、ここまで挙げた点を改善しないと頂点など狙えないだろう。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト写真部)
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厳しい見方かもしれない。ただ、選手たちはワールドカップで「優勝を目指す」と言っている。そうなら、ここまで挙げた点を改善しないと頂点など狙えないだろう。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト写真部)
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