【高校選手権】決勝展望|ともに魅力的な攻撃的スタイル! 17年ぶりの優勝を狙う東福岡と初優勝を目指す國學院久我山

2016年01月10日 安藤隆人

青森山田の守備を幻惑した國學院久我山の前線コンビ。東福岡のギャップを突けるか?

両チームの鍵を握る東福岡のアンカー・鍬先(左)と國學院久我山のCF・澁谷。ともに2年生ながら主軸を務める。(C) SOCCER DIGEST

 第94回全国高校サッカー選手権大会は、いよいよ決勝戦を残すのみとなった。
 
 第76回、77回大会で2連覇を果たしている東福岡はその当時以来の決勝進出。一方の國學院久我山は選手権では初の決勝進出(インターハイでは準優勝1回)を果たした。今年はインターハイ2連覇を果たし、優勝候補筆頭に挙げられていたチームと、まさに快進撃を続けて来たチームの対戦は、ハイレベルな攻防が期待される。
 
 この試合を読み解くポイントは、準決勝の「國學院久我山対青森山田」にヒントがある。というのも、青森山田と東福岡はいずれも4-3-3、あるいは4-1-4-1とも言えるフォーメーション。國學院久我山は準決勝で、そのシステム上のギャップを上手く突くことで青森山田の守備を幻惑したのだ。
 
 國學院久我山は、CF澁谷雅也とトップ下の名倉巧が、ふたりのコンビネーションで徹底的にCBの間と、CBとSBの間、そしてCBとアンカーの間を徹底して突いた。頻繁にポジションチェンジを繰り返しながら、敵の間から顔を出し続け、ボランチや最終ラインがそこに効果的なクサビを入れ続けることで、ペースを握ることができた。
 
「僕らがボールを受けて、起点を作ることができるか。東福岡戦でも僕と(名倉)巧がキーになると思います」と澁谷が語ったように、彼らが東福岡の児玉慎太郎、福地聡太のCBコンビのギャップをいかに突いて、アンカーの鍬先祐弥を最終ラインに引っぱり込み、相手の中盤を間延びさせられるかがポイントになる。
 
 それに対し、東福岡は鍬先の展開力をどこまで引き出せるか。そのためにも鍵になるのは守備面だろう。CBの児玉と福地がスムーズなマークの受け渡しで、出入りして来る澁谷と名倉のコンビを封じ込め、両SBの林と小田がバイタルエリアに前向きに侵入してくる左FW小林和樹と右FW内桶峻のサイドアタッカーを、いかに高い位置でつぶせるか。
 
 そうすれば鍬先の展開力をより前線に近い位置で生かし、東福岡の心臓である中村健人と藤川虎太朗の2シャドーも高い位置でのプレーが可能になり、攻撃に厚みを加えることができる。この2シャドーが、國學院久我山の知久航介と鈴木遥太郎のダブルボランチを押し込めれば、東福岡がペースを握る流れになるだろう。
 
 個人的には東福岡の右FW三宅海斗と、國學院久我山の左SB・山本研と左CBの上加世田達也のマッチアップに注目している。鋭いカットインからの左足シュートを持つ三宅に対し、この2枚がしっかり食い止められるか。このエリアの形勢次第で、試合展開は大きく変わってくるだろう。
 
 見どころが多い東福岡vs國學院久我山の決勝戦。果たして東福岡が17年ぶり3度目の優勝を手にするのか、それとも國學院久我山がチーム史上初の全国制覇を果たすのか。注目の一戦は1月11日の14時5分、埼玉スタジアムで熱戦の火蓋が切って落とされる。
 
文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)

【選手権PHOTOハイライト】準決勝 東福岡×星稜|國學院久我山×青森山田
 
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