【高校選手権】準決勝・第2試合展望|終盤にめっぽう強い青森山田と、パスサッカーにしたたかさを加えた國學院久我山の駆け引きに注目!

2016年01月08日 安藤隆人

粘りの青森山田の攻撃に対し、久我山の時間帯を見極めた守備が機能するか。

ラスト10分で無類の強さを見せる青森山田(左)に対し、國學院久我山はキーポイントとなる時間帯で相手を抑え切れるか。(C) SOCCER DIGEST

第94回全国高校サッカー選手権大会・準決勝
青森山田(青森)-國學院久我山(東京)
1月9日/14:20/埼玉スタジアム2002
 
 これまでの國學院久我山は流れるようなポジションチェンジやパスワークで相手を切り崩すサッカーを展開した。もちろん今年のチームも、それがベースになっているのは間違いないが、就任1年目の清水恭孝監督の下、新たな一面も見せている。
 
「開始10分や、前半と後半のラスト10分、そして得点した後の5分間など、『相手の時間』になりそうな時は、しっかりと相手の良さを消すなど、リスクマネジメントを意識するようになった」とFW小林和樹が語ったように、こだわりを貫き通すだけでなく、相手の勢いを読み取って時には守備の意識を高める。これがかなりチームとして浸透している。
 
 その観点から見ると、対戦する青森山田はここまでの勝ち上がりで、小林が言う重要な時間帯でゴールを決めてきたチームだ。今年の青森山田の強さは、執念の粘りにある。初戦の大社戦では、前半終了間際で1点差に迫るゴールをMF神谷優太が挙げ、後半アディショナルタイムにMF高橋壱晟が逆転弾。2回戦の聖和学園戦では、前半8分に先制弾、同35分に2点目を挙げ、3回戦の桐光学園戦では後半アディショナルタイムにセットプレーからの2発で同点に追いつく。さらに、準々決勝の富山一戦も後半31分の決勝弾と、得点の多くを開始10分、ラスト10分で決めている。
 
 こうした重要な時間帯でのゴールは、選手権だけではなく、U-18プレミアリーグEASTなどでも見られた。後半アディショナルタイムの同点弾や勝ち越し弾で、勝点を掴んだ試合は少なくないのだ。
 
 粘りの青森山田に対し、國學院久我山の時間帯を見極めた守備が機能するか。ここが準決勝の注目ポイントになる。
 
 選手のマッチアップで言えば、北城俊幸、常田克人、近藤瑛佑、原山海里が並ぶ青森山田の最終ラインと、小林、澁谷雅也、内桶峻が並ぶ國學院久我山の3トップの駆け引きには注目だ。
 
 小柄だがスピードとテクニックがある國學院久我山の3トップは、最終ラインのギャップに潜り込み、トップ下の名倉巧やボランチの知久航介、右SBの宮原直央らからの正確なパスを引き出す。対する青森山田はCBのギャップを突かれて失点するシーンが多いだけに、アンカーの住永翔、原山と北城の両SBがどうカバーできるか。
 
 そして今大会絶好調の青森山田MF高橋壱晟を、國學院久我山の中盤がどう抑えるかも注目だ。神谷と高橋の2シャドーは相手にとって危険な存在で、知久と鈴木遥太郎の2ボランチとの駆け引きにも注目だ。
 
 ピッチの至る所でお互いの思惑がぶつかり合い、抜き差しならない駆け引きが展開されそうだ。この戦いを制するのはどちらか。2009年度以来のファイナリストを目指す青森山田か、チーム史上初の選手権ファイナリストを目指す國學院久我山か。いずれにせよ、わずかな差が明暗を分ける一戦となりそうだ。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事