ロビーニョ、D・アウベス...後を絶たないブラジル人の性的暴行事件。有名選手でも世の中が許さない風潮を自覚すべき【現地発】

2023年07月01日 リカルド・セティオン

サントスの選手でいられたのはたった6日間だけ

いずれも女性への暴行で検挙されたロビーニョ(左)とD・アウベス(右)。(C)Getty Images

 2020年10月、ロビーニョは古巣のサントスに復帰した。

「またサントスをブラジルのトップのチームに戻したい」

 彼は意気揚々と抱負を語った。報酬はかなり少なかったが、それでもよかった。すでに36歳の彼は、サントスと3年契約を交わし自分が育ったチームで選手人生を終わりにしようと思っていた。

 しかし結果的に彼がサントスの選手でいられたのはたった6日間だけだった。彼との契約に、サントス周辺ばかりか内部からも大反対が起こったからだ。

 ロビーニョは2013年まだミランでプレーしていた時に、23歳のアルバニア人女性に性的暴行を働いたとしてイタリアで有罪判決をうけている。本来なら9年服役しなければならないが、彼はブラジルにいるので何もできない。ブラジルでは国外で有罪となった自国民を引き渡すことが禁止されているからだ。イタリア当局はインターポールにも協力を求めているが、ブラジルにいる限りは今のところ彼は自由だ。

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 だが、サントスでは彼は自由ではいられなかった。性犯罪者と契約するのかとまず女性サポーターから反対の声が起こり、サントスの女子チームも「ロビーニョをプレーさせるなら、自分たちがプレーしない」と表明。チームのスポンサーも降りると騒ぎだし、ついには6日後に契約は一旦停止となり、その後ご破算となった。そして昨年の7月、彼はひっそりサッカー界を引退した。

 ロビーニョがサントスに数日間だけ復帰した時、チームの監督はクカだった。本名アレクス・スティバル。選手時代はグレミオやスペインのバリャドリーに所属した経験を持ち、1998年から監督キャリアを始め、現在ブラジルでもトップ3に入る監督と言われている。

 彼はロビーニョをできるだけ助けようと努力した。実は彼も過去に暴行罪で有罪になった経験があるからだ。彼がまだグレミオの選手であった1987年夏、チームはヨーロッパツアーを行ないスイスのベルンでプレーした。この時クカは数人の選手と共に未成年の女性に性的暴行をしたと訴えられた。

「未成年とも知らず、合意の上だった」と彼らは主張したが、1か月拘留されたのち保釈金を払ってブラジルに帰国。しかし2年後の裁判で15か月の禁固刑の判決を受けた。ただクカがスイスに行かなければこの判決は効力がなく、結局刑を受けないまま2004年に時効を迎えた。

 ところが、この4月にクカがコリンチャンスの監督に就任すると、コリンチャンスでは猛反対が起こった。

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