明治大にジャイキリ! 3部の城西大2年生FW佐藤遼は闘志むき出しでプレー。仙台育英時代の盟友に「置いていかれないように」と奮起

2023年06月26日 安藤隆人

相手の守備ラインの間隙を狙い続ける

3部の城西大が1部の明治大に勝利。佐藤は攻守両面でタフに戦った。写真:安藤隆人

 夏の総理大臣杯の関東予選にあたるアミノバイタルカップ。関東大学リーグのカテゴリーに関係なく覇権を争うこの大会に、番狂わせはつきものだ。

 3回戦で早くも番狂わせがいくつか起こったなかで、3部の城西大が1部の明治大に延長戦の末、2-1で勝利を挙げるという金星を掴み取った。

 この試合のメンバー表を見た時、高校時代にかなり注目をしていた選手がスタメンに名を連ねていた。城西大2年生のFW佐藤遼は2年前、仙台育英高のエースストライカーとして屈強なフィジカルと走力を駆使して、チームの攻撃を牽引していた。

 フィジカルコンタクトに強く、かつ俊敏性もあって、最前線で球際の激しいプレーと一瞬の隙を突いて裏に抜け出して、ゴールに迫れる力を持つ。相手からすると相当に捕まえづらい選手だった。

 久しぶりに見た佐藤は、FWではなくインサイドハーフでプレーしていたが、このポジションに全くの違和感がなかったことはおろか、確実に成長を遂げていると感じられた。

 運動量とフィジカルの強さは変わらなかったが、前線からの守備が格段に進歩していた。持ち前の俊敏性を活かして、ボールと相手の動きを見ながら、素早く背後のスペースを消す守備をしたり、コースに割って入ってパスコースを遮断する守備をしたりと、ただ無闇やたらに動くのではなく、考えて守備をしていた。

 明治大に押し込まれる時間も長かったが、佐藤は献身的な守備とカウンターに切り替わった時、一気に縦にダッシュを仕掛け、相手の守備ラインの間隙を狙い続けた。
 
 2ゴールは途中出場のFW吉川元輝が叩き込んだが、佐藤がスタートから延長後半アディショナルタイムに交代するまで、フルギアで強度の高いプレーをし続けたことも金星の要因の1つであった。

「相手が明治大だったので、もう燃えました。ずっとこの試合を楽しみにしていましたし、絶対に勝ちたいと思っていました」

 試合後、清々しい表情でこう答えた佐藤に、なぜ城西大に進んだのかを聞くと、こう返した。

「僕が高校3年生の時に城西大は埼玉県1部リーグで、ありがたいことに関東リーグ2部の複数の大学からはお話をもらっていました。でも、城西大は僕が高校2年生の時からずっと声をかけてくれた。必要とされる場所でやりたいと思ったし、1年から試合経験を積みたいと思っていたので決めました」

 入学するとチームは県リーグから関東2部リーグに昇格。トップ下とインサイドハーフを任されたが、1年時から攻撃のアクセントとなる存在としてすぐに頭角を現したが、チームは1年で降格。今年からできた3部リーグでプレーすることとなった。

「2部と比べるとレベルは少し落ちますが、県リーグと違ってどのチームも個性があって試合は楽しいです」

 試合で経験を積めることに感謝の気持ちを抱きながら、「3部からチームとともにステップアップしていきたいと思っていますし、それを牽引する選手になりたい」と大きな野望を持ってプレーしている。

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