スイスで9G6Aと躍動、日本代表に復帰した川辺駿。来季はプレミアでプレー?「すごく充実したシーズンだった」【現地発】

2023年06月25日 中野吉之伴

ウルブスからレンタルできている選手が数人いる

6月シリーズのエルサルバドル戦に途中出場した川辺。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 6月シリーズで日本代表に復帰した川辺駿はスイスリーグのグラスホッパー・チューリッヒでプレーして2シーズンが経つ。

 近年のグラスホッパーはめぼしい戦績を収めることができず、ここ20年間でのタイトルは13年のスイスカップ優勝のみ。3年前には2部降格という憂き目にもあっている。とはいえスイス国内最多となる27回の優勝を誇る名門クラブなのは間違いない。オールドファンだったら、欧州の強豪クラブの一つだった時代を覚えている人もいるかもしれない。

 そんなグラスホッパーに川辺が加入したのは、1部昇格後の21―22シーズン。当時SDだったセイ・オロフィンジャナが「川辺の人間性は素晴らしいよ。Jリーグのシーズンから休みなしでスイスに来たけど、文句なくプレーしている。順応スピードもとても速い」と太鼓判を押すほどのスムーズさでチームに溶け込むと、1シーズン目の昨季には7ゴール・3アシストをマークと、さっそく国内外で注目を浴びる活躍を見せた。

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 川辺獲得へ動いたオファー主はプレミアリーグのウォルバーハンプトン(ウルブス)。グラスホッパーとウルブスは業務提携をしている関係性もあり、選手の行き来がとても頻繁だ。川辺は21年12月に3年半契約にサインし、シーズン終了までグラスホッパーへのレンタルという形式でプレーすることとなった。その後、レンタル期間は今季いっぱいまで延長されることに。グラスホッパーには川辺のほかにもウルブスからレンタルできている選手が数人いる。

 スイスリーグはほかの欧州列強国のリーグと比べたら、確かに比肩しうるレベルのリーグではないかもしれない。だが、欧州に戦いの場を移すことで、欧州サッカー市場に名前をのせることができる。これが重要だ。欧州には様々なネットワークがある。グラスホッパーとウルブスにラインがあるように、いろんなクラブが、いろんなクラブと交流を持っている。

 そして川辺のようにパフォーマンス面でも、そして数字の面でもインパクトのある印象を残した選手には注目が集まっていく。今シーズンも9ゴール・6アシストとどちらも初年度を上回る結果を残したのは素晴らしい。

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