最後までプレー強度を落とさなかった日本代表。ペルー代表監督は“切り替えのスピード”に舌を巻いた【コラム】

2023年06月22日 石川聡

最大の勝因はスピードとインテンシティー

ペルー戦では途中出場の久保(20番)も気を吐いた。日本代表は90分を通して高いプレー強度を維持した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表はキリンチャレンジカップ2023として行なわれた6月の強化試合を2戦2勝で終えた。豊田スタジアムにエルサルバドルを迎えた16日の一戦は6-0と一蹴。その4日後には、韓国を1-0と下して乗り込んできたペルーにパナソニックスタジアム吹田で4-1と快勝した。

 2試合とも最大の勝因はスピードとインテンシティーでラテンアメリカの2か国を上回ったことだろう。エルサルバドルはウーゴ・ペレス監督が「(日本は)サイドにスピードがある選手がいることは分かっていた。そこを封じたいと思っていた」と警戒。開始3分でセンターバックのロナルド・ロドリゲスを退場処分で失い、ゲームプラン変更を余儀なくされるという事情はあった。ただ、そうした状況を考慮しても、欧州でスピードのあるサッカーに揉まれている選手がいないチームには、日本の速さに対処するのは荷が重かったに違いない。

 ペルーのフアン・レイノソ監督もまた、「日本の攻撃時のトランジションに高い代償を払うことになった」と、その切り替えのスピードに舌を巻いた。左サイドの三笘薫、右の伊東純也へいかにボールを早く回し、彼らを手薄な相手守備陣に挑ませるのが日本の強み。そのために、片方のサイドにペルー選手を引き付け、逆サイドにうまくスペースを作ることができた。

 先制点は右の伊東から中央の遠藤航を経由して、左の伊藤洋輝へ。「チームで見つけられた」(伊藤)というスペースで受けた左サイドバックの鋭い左足ミドルシュートが、ゴールネットを揺らした。2点目も右で伊東、菅原由勢のパス交換から、中央の鎌田大地が素早く左の三笘に繋ぎ、カットインからの得点。中央の鎌田が左に空いたスペースへ走り込む三笘にパスを回し、最後は右から走り込んだ伊東が決めたのが3点目だった。
 
 交代出場の前田大然が4点目を奪うなど、最後まで得点への意欲は衰えなかった。終わってみれば2試合とも快勝といえる内容。これだけのリードを奪えば、終盤はギアを一段落としても不思議はない展開だが、最後まで集中力を保ったのは、選手たちの意識の高さだった。

 エルサルバドル戦後、センターバックの板倉滉はこう話していた。「ゆったりしてもおかしくない試合のなかで、なるべくテンポを落とさないように、パススピードを速くしながらというのは意識してできた。1点取って、2点、3点と、どんどん行こうというところが最後までできた」。スコアから見れば、はたして強化につながったのか、という見方もある。しかし、楽な展開といえども甘んじることなく、少しでも強化の実につなげようとプレー強度を落とさなかったところに、チームの飽くなき向上心がうかがえた2連戦だった。

取材・文●石川 聡

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