【浦和】五輪最終予選メンバーに落選した関根貴大が、原口元気から受けた“強烈”なアドバイスとは?

2016年01月01日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「僕は『下手だな』と思う。もっと上手くなりたい」。

関根が投入された後、流れは浦和に傾いた。しかしG大阪の壁を打ち破れなかった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 「僕はまだ下手くそ。チャンスを作るところまでは持ち込めているけれど、最後のクロスやパスがイメージどおりにできていない。『下手だな』と思う。だからこそ、もっと上手くなりたい。その気持ちを持っていれば、新シーズンにきっとつながるはず」
 
 元日のG大阪との天皇杯決勝後、浦和の関根貴大は落胆の表情を浮かべながらも、新シーズンへの誓いをそう打ち立てた。
 
 非情とも言える宣告だった。
 
 29日の天皇杯・準決勝の柏戦、何度も右サイドを切り裂いて延長まで120分間を走り切り、1-0の勝利に大きく貢献した。その翌日、沖縄県の石垣島で合宿中のU-23日本代表の手倉森誠監督から、リオ五輪アジア最終予選(1月12日からカタールで開催)に臨むメンバー23人のうち未定だった"残り2枠"について発表される。
 
 浦和ユースから昇格2年目にして右ウイングバックのレギュラーとしてフル稼働し、J1で6得点・7アシストと結果も残したアタッカーの名前は、しかしそこになかった。
 
 「同い年のみならず、自分より年下の選手も選ばれるようになってきた。それだけに、選出されないと悔しいですよ」と語るなど五輪代表に懸ける想いは強かっただけに、無念さは相当だったに違いない。
 
 そして柏戦から中2日で迎えたG大阪との決勝、そのスタメンに関根の名前はなかった。公式戦でのベンチスタートは、8月29日のナビスコカップ準決勝の新潟戦ファーストレグ以来、実に14試合ぶりである。
 
 ペトロヴィッチ監督は関根をスタメンから外した理由について、「1週間で3試合目。この2試合、彼はフル出場していた。我々の戦術において、サイドの選手は非常に多くの運動量が要求される。今回は相手の疲労が見え出した途中の時間帯から関根を起用するほうが、より活きると考えた」と説明した。
 
 状況によって関根のポジションは宇佐美貴史と対峙するため、守備面なども考慮して、梅崎司が右ウイングバックに起用されたのだ。加えて浦和が今季G大阪に唯一勝っていた第1ステージ9節の一戦でも、途中出場から関根が試合の流れを変えていた展開も(浦和がズラタンのゴールで1-0勝利)、指揮官の脳裏にあったはずだ。
 
 とはいえ、関根に戸惑いや焦りは一切なかった。自分の役割はしっかり把握し、「自分がピッチに立つ時の役割はハッキリしていたので、準備だけはしていた」。
 
 パトリックに1-2とされる勝ち越し点を決められた直後の57分、ズラタンとともに交代出場する。関根がサイドを崩して、ズラタンの高さを活かせ――と、その交代が意味するメッセージは明白だった。
 

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