ゴールセンスが凝縮された一撃! Jスカウト注目の市立船橋エースが宿敵との決勝で示した“半端ないポテンシャル”【総体予選】

2023年06月19日 松尾祐希

2年時から名門でナンバー10を背負う

調子が万全でなくとも大一番で仕事を果たす。市船FW郡司(10番)はエースの面目躍如たる活躍をみせた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

 やっぱり、頼りになる。まさにエースの仕事だった。

「あれを決めるのはスーパー。決め切ってしまうのは能力の高さなんでしょうね」(流経大柏・榎本雅大監督)と、敵将をも唸らせるゴールを決め、市立船橋を2年連続となる夏の全国舞台へと導いた。

 6月18日、インターハイの千葉予選決勝が行なわれ、市立船橋は流経大柏と対戦。長きに渡って県内の覇権を争ってきたが、インターハイ予選の決勝で対戦するのは2017年以来となる。しかも、千葉県の出場枠が2校から1校になってからは初。そんなライバル同士の戦いは立ち上がりから終盤まで白熱の攻防が繰り広げられ、市立船橋が3-2で制して出場権を勝ち取った。

 伝統の一戦で輝きを放ったのが、市立船橋で2年時から10番を背負うFW郡司璃来(3年)だ。

 最大の見せ場は1-0で迎えた前半17分だった。チームはゲーム序盤から守勢に回り、2トップの一角で出場した郡司に良い形でボールが入らない。その状況下でカウンターのチャンスが訪れる。MF佐々木裕涼(3年)が自陣で大きくクリアすると、ボールは敵陣へ。これに反応したのが郡司だ。右サイドでボールを拾うと、一気にスピードを上げてゴールに迫る。
 
 凄かったのはここからだ。相手CBの高橋力也(3年)がカバーに入ってきたところ、キックフェイントで一度外す。そのまま左足でシュートを打つ体勢に入ったが、郡司は冷静だった。

「シュートを打つフリをして、一度切り返して、そこから打つつもりだった。でも、もう1回切り返せば、相手が滑ると思ったんです。その読みがうまく当たった」

 ふたたびフェイクを入れて相手を手玉に取ると、GKしかいない状況に。深い位置まで入っていたため、角度がなく、シュートコースはファーサイドしかない。限られたコースにきっちりと打ち込んで、チームに貴重な追加点をもたらした。

 最終的に5ゴールが飛び交う撃ち合いとなったが、郡司の一撃が勝負を決定づけたといっても過言ではないだろう。

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