【天皇杯】G大阪 2-1 浦和|遠藤、今野、明神のDNAを受け継ぐ若きボランチ。新時代を切り拓いた19歳の井手口が大舞台で示した可能性

2016年01月01日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

タイトルが懸かる試合でも、途中出場から堂々とプレー。

米倉の負傷退場を受け、12分からボランチで途中出場した井手口。劣勢の時間帯でも慌てることなく、持ち味を随所に発揮しタイトル獲得に貢献した。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 12分、いきなりG大阪をアクシデントが襲った。右SBの米倉が負傷で交代を余儀なくされる。この事態に長谷川監督はボランチの今野を右SBにコンバート。空いたボランチには、19歳の井手口が投入された。
 
「(監督からは)落ち着いて行け、とだけ言われました。全然準備はできていなかったですけど、落ち着いて入れたので良かった」
 
 前半はパスミスなどもあり、試合に入り切れていない印象だったが、後半は出色のパフォーマンスを披露。2-1とリードした後は浦和が攻撃の強度を高め、押し込まれる時間帯が長くなったが、劣勢になればなるほどその存在感は際立っていった。鋭い出足から持ち前のボール奪取力を発揮し、効率良くセカンドボールを回収。自ら持ち上がって正確なスルーパスも通してみせる。
 
「押し込まれているほうが、ボール(奪取)は狙いやすかった」と本人が語るように、慌てることなく浦和の攻撃に対応し、ピンチを未然に防ぎ、ミドルゾーンの攻防で優位に立ちながら、チームに落ち着きを与えていた。
 
 もちろん、自身の出来に満足しているわけではない。「まだまだボールに行けるシーンがあったと思う。そこはまだツメが甘い」と反省を口にするが、タイトルが懸かる試合でも堂々とプレーできていたのは事実だ。ポテンシャルをいかんなく発揮し、チームを勝利へと導く。取材エリアでは、時折笑顔を見せながら、質問者の目を見てしっかりと言葉を紡ぐ若者は、小さくない手応えと自信を掴めたはずだ。
 
「(2015シーズンは)すべての大会で、目の前で悔しい想いをしてきた。最後にこうやって優勝できて、すごく嬉しい。自分の成長にもつながると思います」
 

次ページ「世界で通用する選手になれるように頑張ってほしい」(明神)

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事