【ブンデス現地コラム】より負けないチームに!?――“ペップ後”のバイエルンを展望する

2016年01月01日 中野吉之伴

アンチェロッティ率いる2016-17シーズンのチームを占おう。

バイエルンに多大な影響を与えた稀代の名将ペップ。しかし、チームを離れることが決まるや否や、首脳陣の頭は新たな歴史の創成に向けて素早く切り替わった。 (C) Getty Images

"ペップ"グアルディオラがバイエルン、そしてドイツ・サッカーにもたらした功績は間違いなく大きく、これまでのドイツにはなかった価値観とアイデアが持ち込まれた衝撃は、相当なものだった。
 
 彼から影響を受けた指導者たちは意欲的なチャレンジに取り組み、最近では育成年代にまでペップの存在は影響を与えている。
 
 そんな彼がドイツを去る。
 
 バイエルン代表取締役K・H・ルンメニゲは契約延長を実現するため、可能な限りの手を尽くしたが、最後には「バイエルンは彼にとってまだ、2つ目のクラブだということを忘れてはいけない。まだ若く、新しいチャレンジや経験がしたいんだ」と諦めざるを得なかった。
 
 稀代の名将との別離……。しかし嘆いている時間はない。ルンメニゲ自身が「監督が去っても世界が終わるわけではない。次の監督が来るだけだ」と語っていたように、どのように次へと繋いでいくかが重要なのだ。
 
 そうして白羽の矢が立てられたのが、アンチェロッティだった。おそらく、現代最強の優勝請負人だろう。ユベントス、ミラン、チェルシー、パリ・サンジェルマン、レアル・マドリード、どこに行っても成功してきた。チャンピオンズ・リーグ(CL)でも3度優勝している。
 
 その手腕は各方面から褒め称えられ、アンチェロッティの親友でもある元イタリア代表監督のサッキは、以下のように最大限に賛辞を贈る。
 
「彼はメンタリストとしての高い能力を持っている。選手に命令などしない。納得させることができるからだ。繊細さがあり、ファンタジーがあり、サッカーへの深い知識を持っている。たとえ11人のGKを与えられたとしても、彼は勝利するだろう」
 
 そんなアンチェロッティ就任で、バイエルンはどのような変化を見せるのだろうか。
 
 陣容に関しては、全体的に大きな変化はないだろう。グアルディオラがお気に入りのチアゴを連れて行くのでは? という噂も出ているが、本人は今のところ、残留を望むコメントを出している。
 
 むしろ心配なのは、マドリーへの移籍話があるレバンドフスキの方だ。彼の去就次第では、当然ながら補強の必要性も出てくる。その場合、アンチェロッティのマドリー時代の愛弟子、ベンゼマとの交換トレードの可能性もありそうだ。
 
 他にはパリSG時代に好関係を築いたイブラヒモビッチの名前も噂では挙がっているが、バイエルンのクラブ気質を考えると、彼のような個性的すぎる選手の獲得に動くとは考えにくい。

次ページ他クラブにとってバイエルンが脅威となることに変わりはない。

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