左サイドバックの一番手に名乗り。森下龍矢の“外回り”が新たな可能性を示す「活かしてもらうぐらい大外、大外で」

2023年06月16日 河治良幸

3年後を考えても、最も不安なポジション

エルサルバドル戦でA代表デビューを飾った森下。馬力あるプレーで期待に応えた。(C)SOCCER DIGEST

[キリンチャレンジカップ]日本 6-0 エルサルバドル/6月15日/豊田スタジアム

 三笘薫や中村敬斗を活かし、活かされる。森下龍矢の"外回り"が森保ジャパンの左サイドを進化させるか。

 過去のワールドカップ4大会に渡り、長友佑都が引っ張ってきた左サイドだが、なかなか次の第一人者になりうる選手が出てこなかった。前回のカタール大会では中山雄太(ハダースフィールド)がアキレス腱の怪我で辞退を余儀なくされたこともあったが、3年後を考えても、最も不安なポジションだったことは確かだろう。

 もちろん、3月に初招集されたバングーナガンデ佳史扶など、パリ五輪世代やアンダーカテゴリーに有望なタレントもいるが、伸びしろの期待値込みであることは否めない。左利きの伊藤洋輝にしても、センターバックのほうが素直に特長を発揮しやすく、攻撃面ではできることに限りがある。

 そうした状況で、森下がエルサルバドル戦で見せたプレーは、新たな可能性を示したと言える。
 
 ゴールやアシストといった誰の目にも明らかな結果を残したわけではない。守田英正、三笘とつないで、森下が折り返したクロスをファーで久保建英が合わせたシーンは惜しくもゴールにならなかった。

 そのほか、クロスが大きく外れてしまうシーンもあったが、森下は「そこはもう回数を重ねていくしかないですね」と前向きに語る。前半は三笘、後半は中村を外側から精力的に追い越す動きで、味方に選択肢を与えると同時に、相手ディフェンスの対応を難しくした。

「三笘選手がボールを持った時は(外側を)回れるように、常に準備することを心がけた。全部を回ろうと思っても、全部は回りきれないけど、僕が回れない時は単騎で行ってもらって、回れる時はもう僕と二人で崩すと、そういう心がけでやってました」

 象徴的だったのが、33分の惜しくもゴールにならなかった場面。左の中寄りで三笘がボールを持つと、森下が外から追い越す。三笘が中に仕掛けることで生じた合間のスペースを、左インサイドハーフの旗手怜央が抜けてシュートを放った。GKのマリオ・ゴンサレスに止められたが、左の3人が見事に絡んだシーンだった。

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