【岩本輝雄】浦和はなぜ横浜FCに無得点? 気になったボランチの位置取り。両サイドも相手の守備にハマりにいく感じだった

2023年06月12日 岩本輝雄

もっと臨機応変にアレンジを加えてもよかった

浦和は横浜FCとスコアレスドロー。攻撃は今ひとつの内容だった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第17節]横浜FC 0-0 浦和/6月11日/ニッパツ三ツ沢球技場

 アジア王者の浦和が、昇格組の横浜FCにどんな戦いを見せるか。結果はスコアレスドロー。もちろん、横浜FCの堅実なディフェンスは素晴らしかったけど、それ以上に気になったのが、浦和のポジショニングだ。

 伊藤と岩尾のダブルボランチは、相手の2シャドーとダブルボランチの中間位置にポジションを取る。それは別にいいんだけど、ある意味、横浜FCからすれば、捕まえやすい位置取りでもある。

 だから、もっとボランチが外に出るとか、相手の2シャドーの横にいるとか、もう少し、変化を加えればいいのにと思って見ていたけど、それもあまりなかった。中間位置で縦パスが入っても、次にどうするかが明確ではなく、連動したアクションも限られていた。

 2シャドーの横に立てば、相手のボランチはスペースを空けたくないから前に出られなくなるし、2シャドーの動きもけん制できる。こうなれば、浦和のセンターバックは前に持ち出しやすくなる。

 でも、そうしたシーンはあまり見られなかった。あったとしても、今度はサイドバックがそこまで高い位置にいなかったから、数的優位をなかなか作れない。

 2列目の両サイドも、どちらかと言えば、中に絞るような動きを見せる。でも、横浜FCからすれば、3バックにハマりにきてくれたようなものだし、ウイングバックもフリーになれる。そこで浦和のサイドバックが出てきても、1対1で対応できる。
 
 ワントップの興梠にパスが入れば、何かが起きそうな雰囲気はあった。やはりそこは能力がずば抜けた選手。独力で局面を打開できるけど、1人でできることには限度があるし、横浜FCの守備陣も簡単にはやらせない。

 戦力的には浦和が上かもしれないけど、そこまで怖さを与えられなかったように思う。もっと臨機応変にアレンジを加えて、流動的に崩せばいいのに、という感じかな。横浜FCからすれば、おそらく守りやすかったはずだよ。

 浦和の個々の能力は間違いなく高い。それを組織としてさらに活かせる方法はあるだろうし、優勝争いに絡むためにはそこが1つポイントになるのではないか。

 それにしても、浦和のサポーターは相変わらず凄いね。スタジアムには1万人以上が詰めかけたなか、浦和側のスタンドは迫力満点。あれは選手の後押しになるよ。ピッチ上での戦いぶりは物足りなかったけど、浦和の応援を十分に楽しめたのは良かった。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた"40メートルFK弾"は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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