【桑原学アナが選ぶJ歴代ベスト11】歴史を彩った名手たちをセレクト。“特別枠”として規格外の助っ人も選出

2023年06月08日 サッカーダイジェスト編集部

「俊輔さんの左足にも、何度も夢を見させてもらいました」

桑原アナが選出したJ歴代ベストイレブン。(C)SOCCER DIGEST

 今季で30周年を迎えたJリーグ。多くの名プレーヤーたちが紡いだ歴史のなかで、最高の11人を選ぶなら誰か。ここでは、Jリーグや欧州各国のサッカー中継を担当し、DAZNの番組「Jリーグジャッジリプレイ」のMCでもお馴染みの桑原学アナウンサーに、歴代ベストイレブンを選んでもらった。
【画像】元日本代表、現役選手、著名人が選ぶJリーグ歴代ベストイレブン!
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 今回は「J1で300試合以上出場」を条件に選びました。もちろん日本サッカーの発展には、Jリーグから欧州へ旅立って活躍した選手たちの力も大きいのですが、企画の趣旨を踏まえ、Jのピッチに多く立ったプレーヤーを基準にしました。

 GKは、類稀な反射速度のセービングはもちろんのこと、世界レベルのパントキックでもファン・サポーターを魅了し続けている西川選手。今でこそGKにも足元の高い技術が求められますが、それを早い段階から超ハイレベルで備えていました。味方を安心させる笑顔も、その誠実な人柄が滲み出ています。

 ディフェンスラインは、燃え盛るような熱さと存在感が歴代のJ戦士の中でも屈指の闘莉王さん、ワイルドな風貌とは裏腹に、常にクリーンなファイターの中澤さん、明るいキャラクターのなかに、激しい闘志を秘める槙野さんを並べました。
 
 ボランチは遠藤選手と憲剛さん。前者は時間と空間を操れる特別な才能を持っていて、その佇まいはまさに"仙人"のようで、泰然自若。そして後者は、身体能力に恵まれなくても努力で最高峰に辿り着けることを体現し、基本技術の大切さも教えてくれました。

 名波さんの左足には、何度も魅せられました。一緒にボールを蹴らせていただいたこともありますが、自分が上手くなったように錯覚してしまうパスに感動を覚えました。

"マイベスト"は俊輔さん。彼の左足にも、何度も夢を見させてもらいました。「俺たちの俊輔」が欧州で輝く姿にはいつも勇気をもらい、CLでセルティックの歴史を変えたフリーキックには涙が出ました。栄光も挫折もすべて美しく、帰国後に35歳で2度目の年間MVPを獲得したのも偉業です。

 小笠原さんは誇り高き武将のような選手で、常勝鹿島の象徴ですよね。2001年のチャンピオンシップ第2戦でのフリーキックのように、大事な局面で結果を出すスター性も光っていました。

 2トップの一角は、寿人さん。圧倒的なスピードや高さがなくても、ゴールの奪い方を知っている選手だと感じました。その背景には常に思考を巡らせ、努力する姿があり、それが歴代屈指のストライカーに上り詰めた要因だと思います。人柄も誠実そのもので、プレーヤーとしても、人としても尊敬できる存在です。

 あと、冒頭で示した選出基準は満たしていないのですが、特別枠としてオルンガを。彼はたったひとりで戦術と化してしまうような規格外の選手でした! 飛び抜けた身体能力に目がいきがちですが、思考力も非常に高く、ディフェンスとの駆け引きも上手かった。19年のJ2最終節で、度肝を抜いた1試合8ゴールは、もしかしたらこの先も永遠に破られることのない記録になるかもしれませんね。

 この11人を指揮するのは、日本での監督キャリア18年目を迎えたミハイロ・ペトロヴィッチ監督です。代名詞である可変式の3-4-2-1がJリーグに与えた影響はとてつもなく大きく、そのアイディアを参考にした監督も多かったはず。選手を引き付ける求心力も高く、何より日本を愛してくれていることが嬉しいですね。

 このチームはとにかくボール保持にこだわります。そしてシステムは往年の「N-BOX」を再現しました。左右のセンターバックが超攻撃的なので、中澤さんの負担は大きくなりますが、そこは上手く統率してもらいましょう。フリーキックの名手も多いので、蹴る順番はひとり一回ずつです(笑)。

取材・構成●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

※サッカーダイジェスト2023年5月25日号から転載。一部加筆・修正。

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