「日本の選手は才能はあるが終始不安げだった」まさかの敗退を喫した冨樫Jを対戦国はどう見たのか?「混乱し、僕たちが一人多いみたいだった」【U-20W杯】

2023年06月03日 リカルド・セティオン

「日本はすべてにおいて我々より上だった」

技術では上回りながら、冨樫ジャパンはイスラエルに痛恨の逆転負けを喫した。(C)Getty Images

 U-20ワールドカップで冨樫剛一監督率いるU-20日本代表はまさかのグループステージ敗退を喫した。イスラエルとの第3戦、引き分けでも16強に進めたにもかかわらず、相手が退場者を出して数的優位となりながら、76分と後半アディショナルタイムに2失点。信じ難い敗北だった。

 セットプレーの流れからイスラエルの1点目を決めたロイ・ナビは完全にフリーになっていた。

「ゴールを決めた時、僕はゴール前でフリーだった。ボールが来たんで、考える間もなくただ頭で押し込んだ。ただ入れるだけでよかった。とても重要で、でも人生で一番簡単なゴールだった」

 また左SBのロイ・レヴィーボは「日本はフィジカルも強くスピードもあって、僕たちがマンマークするのは不可能だった。だから少し離れてマークし、相手のスペースを狭めるようにした。多分この作戦が当たった。日本は混乱し始め、まるで僕たちの方が一人多いみたいだった」と明かしている。

【動画】「人生で一番簡単なゴール」とイスラエル選手が語った日本の痛恨失点シーン
 イスラエルのオフィル・ヘイム監督は試合後、母国メディアにこう語っていた。

「前半はこれまでの試合の中で一番難しかった。日本にプレーをさせてもらえず、後半はゴールへの道が塞がれていた。日本はすべてにおいて我々より上だった。おまけに我々は途中で10人になってしまった。それでもイスラエルが勝ったのは、選手たちの闘志のおかげであり、日本の脆弱さのおかげだった。日本の選手は才能はあるが、終始不安げだった。私の選手たちはそこを衝いた」

 イスラエルのTV『チャンネル13』のコメンテーターは、この試合をダビデとゴリアテの戦いに例えている。旧約聖書に出てくる、羊飼いの少年ダビデが巨人ゴリアテを倒す物語で、弱い者が強い者を倒すことを意味する。この場合ゴリアテは日本でダビデがイスラエルだ。

 また、ニュースサイト『Wella』は「日本に勝ったことは、通常の勝利以上の価値を持たせてくれた」と言っている。つまり日本はすでに皆が目標とする、倒すべき相手なのだ。

 カタール・ワールドカップで2大会連続の決勝トーナメント進出を果たしたように、世界大会において、日本はもはや弱小国ではない。多くのチームは日本を恐れ、警戒している。もうそろそろその自覚を持った方がいい。

 選手も監督も、そして日本のサポーターも、「負けても仕方がない」などと思わないでほしい。この敗退を歯ぎしりして悔しがってほしい。そうでなければ、日本のサッカーはこれより上には行けなくなると私は思うのだ。

取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
 

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