「来季は“タケ封じ”が合言葉となる」久保建英は要注意人物。ソシエダ番記者が懸念する徹底対策「シメオネはしてやったりの表情だった」【現地発】

2023年06月02日 ミケル・レカルデ

敵将シメオネは「最も決定的なプレーヤーだったクボを無効化」

アトレティコ戦はレギロン(右)のマークに苦しんだ久保。(C)Getty Images

 タナボタだったわけではない。レアル・ソシエダはラ・リーガ第37節で1-2というスコアで、ビセンテ・カルデロン時代から苦手にしているアトレティコ・マドリーとのアウェーゲームに敗れた。しかし5位のビジャレアルもラージョ・バジェカーノに同じく1-2で敗れたため、4位が確定。来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を獲得した。

 下馬評ではソシエダを推す声は少なかった。しかし序盤からの快進撃、年明けに調子が下降線を辿った時の踏ん張り、そして終盤のラストスパートにモノを言わせ、最終節を残し確定させた。したがって決してラージョのおかげで、手にした勲章ではない。繰り返すが、タナボタではないのだ。

 その終盤、チームを引っ張ったのがタケ・クボ(久保建英)だ。当初からソシエダについて「ファンもチームも、チャンピオンズリーグ・アンセムを聞くに値するクラブだ」とキッパリ断言していたが、見事に有言実行を果たした。昨夏クラブがタケの獲得のために投じた金額はわずか600万ユーロ(約8億4000万円)。今シーズンのラ・リーガにおいて最もお買い得だった補強で間違いないだろう。
 
 ただアトレティコ戦は、来シーズン、タケを待ち受ける新たな次元を予感させる機会にもなった。前回のレポート記事で指摘した通り、最近、イマノル・アルグアシル監督は明らかにタケを攻撃の中心に据えてゲームプランを立てている。主眼を置いているのは、1対1を仕掛けやすい環境作りだ。しかしアトレティコのシメオネ監督は対策を講じてきた。

 ポイントとなったのは左ウイングバックの人選で、シメオネ監督はセルヒオ・レギロンをぶつけてきた。後半戦、そのポジションに定着していたヤニック・カラスコはその1列前に配置。さらにレギロンの後方には左CBとしてマリオ・エルモソを充てる用意周到ぶりだった。

「狙いは、ソシエダが持っている良い攻撃手段をすべて封じることにあった。レギロンは、最近、ソシエダの最も決定的なプレーヤーだったクボを無効化した。我々の要求に応えてくれた」

 試合後、シメオネ監督はしてやったりという表情だった。

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