「すごい良かったかな」同点弾演出の鎌田大地はフランクフルトのブンデスリーガ最終節に何を感じたか【現地発】

2023年06月01日 中野吉之伴

長谷部は相変わらずの安定感で統率

最終節で今季ブンデスリーガ6アシスト目を決めた鎌田大地。(C)Getty Images

 最後に笑ったのはフランクフルトだった。2022-23シーズンのブンデスリーガ最終節、チャンピオンズリーグ(CL)出場の可能性を残していたフライブルクを相手に先制を許しながら2-1の逆転勝利。18チーム中7位でフィニッシュした。

 その日も当たり前のように5万500人と満員になったフランクフルトのホーム、ドイチェバンク・パルクは、試合開始前からファンの大声援がピッチに降り注いでた。この最終節が持つ意味は小さくない。来季、ヨーロッパの舞台に立てるかどうかがかかっているからだ。

 21-22シーズンのヨーロッパリーグを制覇したフランクフルトは今季、CLにクラブ史上初出場(前身のチャンピオンズカップを除く)。トッテナム、マルセイユ、スポルティングと難敵揃いのグループステージを見事に突破した。

 ラウンド・オブ16のナポリ戦で力尽きたものの、その勇敢でチャレンジ精神に満ち溢れた戦いぶりに、ファンは惜しむことなく心を込めた拍手を送ったものだ。

【動画】鎌田が「あれはすごかった」と唸る同点弾
 
 シーズン前半はCLだけでなく、国内リーグでも健闘。4位で折り返し地点(17節終了)を迎え、最高のシーズンになることが期待された。だがワールドカップ(W杯)後、今年に入って調子を落としてしまい、一時はリーグ10戦未勝利と完全に迷路に迷い込んだ。それでも32節のマインツ戦で11試合ぶりの勝利(3-0)。最終節でヴォルフスブルクが敗れたうえで、自分たちが勝てば逆転の7位フィニッシュという状況まで持ち込んだ。

 7位チームにはヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)の出場権が与えられる。CL、ELと比べたら魅力が劣るコンペティションかもしれないが、それでもフランクフルトにとっては重要な欧州カップ戦だ。RBライプツィヒと激突するDFBポカール決勝で勝てば、国内カップ戦の優勝チームに付与されるEL出場権を得られる。ただ、ブンデスリーガでヨーロッパ行きを確定させておきたい。それがチーム関係者全員に共通する思いだった。

 フライブルク戦では元日本代表キャプテンの長谷部誠が3バックのセンター、日本代表MF鎌田大地は2ボランチの一角でスタメン出場。ともに攻守に存在感を発揮した。長谷部は相変わらずの安定感で守備陣を統率し、抜け目なく突破を図ろうとするフライブルク攻撃陣の前で壁となって立ちふさがる。攻撃でも随所にインテリジェンスを感じさせる鋭いパスで起点となった。
 

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