【プレミアリーグ】言葉と活字のバトル勃発! 怒りのファン・ハールvsウケ狙いの過激メディア

2015年12月25日 内藤秀明

ファン・ハールのメディア批判に英メディアは皮肉で仕返し。

ファン・ハールはバルセロナを率いていた1999-00シーズンと02-03シーズンにも、メディアとファンから独善的な態度と守備重視のサッカーを非難され、解任されている。 (C) Getty Images

 12月26日に開催されるプレミアリーグ第18節。全10カードのなかでも、要注目なのがマンチェスター・ユナイテッド対ストークの一戦だ。
 
 というのも、チャンピオンズ・リーグではグループステージ敗退の憂き目に遭い、プレミアリーグでも5位と低調なパフォーマンスを続けるユナイテッドの、ルイス・ファン・ハール監督の去就が注目を集めているからである。
 
 チェルシーのジョゼ・モウリーニョが解任されたことで、より一層、過熱している自身の去就報道と報道陣に対し、12月23日の記者会見でファン・ハールが怒りを露わにした。
 
「この部屋(会見場)のなかに、私に謝罪したい者はいないかね? 君たちの記事を読んでいると、まるで私が既に解任されていて、モウリーニョがユナイテッドの監督になっているという話になっているじゃないか。
 
 こんな報道をして、私の妻や子供や孫たち、それからユナイテッドのファンに申し訳ないと思わないのかね? そんな君たちに私は何かを話したいとは思えない。話したところで、君たちが書きたいように意図をねじ曲げられてしまうだろう。私がここにいるのは、それがプレミアリーグの決まりだからってだけだよ」
 
「君たちは事実だけを記事にするべきだ! 私にウッドワード(ユナイテッド現CEO)や、ファーガソン(ユナイテッド元監督)から電話があれば、君たちはそこから事実ではない嘘の記事を作るだろう?
 
 ここ数週間、私は選手に自信がつくように努力し、最善を尽くしてきた。選手とスタッフとのミーティングとクリスマスランチでは人の温かさを感じたし、コミュニケーションを図ることができた。だが、メディアからは温かさなど感じられない。雰囲気を悪くしているのは君たちだ」
 
 一方的にメディアを酷評したファン・ハールだが、低調な成績や「退屈だ」と非難されている守備重視のサッカーに対してサポーターたちが不満を溜めていることは、オールド・トラフォードで巻き起こっているブーイングを聞けば明らかである。
 
 記者が「そういう解任の噂は、サポーターが不満を抱えているから起こるのでは?」と問うと、すかさずファン・ハールは反応し、次のようなコメントを吐き出した。
 
「とにかく、私はストーク戦に集中している。以上だ。皆さん、メリークリスマス! そして、良いお年を!」
 
 重苦しい雰囲気だけを残して会見場を後にした彼に対し、英紙『The Sun』は翌日の紙面に「ファン・ハールが謝罪を要求したので謝ります」という書き出しで、以下のような皮肉めいた文を掲載した。
 
「ごめんなさい。1位から5位にまで順位を落として」
「ごめんなさい。チャンピオンズ・リーグで敗退して」
「ごめんなさい。ファンに死ぬほどつまらない思いをさせて」
「ごめんなさい。2億5000万ポンド(約425億円)も使ってこんな成績で」
 
 このような過激な現地メディアの報道は、いつもウケ狙いの記事が多く、ファン・ハールが激怒したことも理解できる。
 
 とはいえ、ユナイテッドの現状に改善が必要なのも確かで、このままのパフォーマンスが続けば、メディアの解任報道が現実のものになってしまうだろう。
 
 土曜日(12月26日)のストーク戦では、苦境に立たされているファン・ハールが解任を免れる上でも、ユナイテッドには勝点3が求められている。
 
文:内藤秀明 text by Hideaki Naito
 
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