ヴィルツ、ハベルツ、ムシアラ…逸材の“共演”に期待が膨らむドイツ代表の明るい未来【現地発】

2023年05月30日 中野吉之伴

ベルギー戦は前半30分に途中交代

ヴィルツ(左端)やハベルツ(右奥)らドイツ代表には楽しみな逸材が。(C)Getty Images

 3月に開催されたペルーとの親善試合でドイツ代表のスタメンを目にしたドイツファンは、ポジティブにざわついた。ドイツが誇るクリエイティブな選手であるカイ・ハベルツとフロリアン・ヴィルツの2人がそろってスタメンに名を連ねたのだ。それもそれぞれが力を発揮できるトップ下でのダブル起用。ここにこの時はケガで欠場となったジャマル・ムシアラが加わってくるのかと思うとファンの期待は大きく膨れ上がる。

 特に膝の十字靱帯断裂という重傷でカタール・ワールドカップ出場がかなわなかったヴィルツへの期待は極めて大きい。ハンジ・フリック監督はカタールW杯後に数多くに試合視察に出かけ、選手や指導者とあって、意見交換を交わしている。レバークーゼンに顔を出す頻度も少なくない。お目当てはこの20歳だ。
 
 負傷から復帰後、ブンデスリーガとヨーロッパリーグで文句なしの活躍を見せ、代表復帰を果たしたヴィルツについて、フリックは次のように話をしていた。

「フロリアンがまたピッチに戻ってきたことをみんなが喜んでいる。そして復帰後すでにピッチで見せてくれているプレーは本当に優れたものだ。だが、気を付けなければならない。あれほどの重傷後に多くを期待しすぎるのはよくない。上手くいかない時期も来るのだ」

 3月のペルーとベルギー代表では、そんな言葉通りになってしまった。ところどころに流石と思わせる鋭いプレーがあったペルー戦はまだよかったが、ベルギー戦はまるでいいところがないまま、前半30分に途中交代。チームとしての戦い方がまるで機能しなかったという側面があったものの、ボールを持った時の動きも、ボールを持っていないときの動きも何もかもうまくいかなかった。華々しい代表復帰とはまるで違う流れで終わってしまっただけに、本人も意気消沈したことだろう。

 フリックはベルギー戦後に「今日は彼にとってベストな日ではなかった。だが、これを乗り越えていかないと」と言葉を残している。その資質への信頼は揺らぐことなどない。

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