キック精度を活かしたプレースタイルが南米の猛者に通用。左SB松田隼風はGS突破が懸かるイスラエル戦で結果を残せるか【U-20W杯】

2023年05月26日 松尾祐希

コロンビアとの“再戦”で成長に手応え

コロンビア戦では後半開始から登場した松田。写真:松尾祐希

「ワールドカップはまだ終わっていない」。

 正確なキックでチャンスを生み出したレフティは気持ちを切り替え、新たな戦いに向けて走り出している。

 現地時間5月24日に行なわれたU-20ワールドカップの第2戦。冨樫剛一監督が率いる若き日本代表は、苦しみながらもコロンビアに1点リードでハーフタイムを迎えたが、53分と59分に失点を喫して1ー2で敗れた。

 逆転負けから一夜明け、U-20日本代表は早朝にブエノスアイレスの空港を飛び立った。6時に朝食を済ませ、6時半過ぎにはホテルを出発。敗戦を引きずる暇もなく、1000キロ離れたメンドーサへ入った。

 そんな慌ただしい1日を過ごすなか、コロンビア戦で手応えを口にした選手がいる。後半開始から左SBで出場した松田隼風(水戸ホーリーホック)だ。

 昨年6月にフランスで行なわれたモーリスレベロトーナメントのコロンビア戦(1−2)と比べ、できることが増えていたと話す。

「僕個人としては、(1年前の試合で)かなり差を感じていた。モーリスレベロトーナメントは、コロンビア以外は年上の相手。正直、『年上だから』という言い訳もちょっと考えたんですけど、やっぱりコロンビアは同じ年。

 そのなかで負けたのは結構ショックが大きかったんです。実際にフランスでは、今より個人のところで劣っていたところがあったので、そういう意味で今回は負けましたけど、フランスの時よりもやれている印象がある」
 
 実際に今回も守備面では相手のパワフルな突破に苦労したが、攻撃面では違いを生み出せていた。とりわけ、終盤は左サイドから高精度のクロスを入れ、あと一歩でというシーンを作っている。

 90+6分には左サイドでFKを得ると、ゴール前に鋭いボールを入れて、センターバックのチェイス・アンリ(シュツットガルト)が押し込めばゴールとなった場面を演出。キックの精度を活かしたプレースタイルが南米の猛者にも通用した点は、1年前からの成長だった。

 また、試合の流れを見て、自らの判断でロングスローを選択したプレーもポジティブな要素だ。80分を過ぎてから、日本は左サイドでボールが切れると、松田が助走を取ってゴール前にボールを投げ込んだ。このプレーは事前に練習していたわけではなく、松田の判断で咄嗟に実行したという。

「ピッチの中の感覚がすごく大事。せっかく投げるだけでゴール前にボールが行くのであれば、やった方がチャンスだと思った」

 そうした判断に対し、仲間たちも呼応。「僕がいきなり勝手にやったことなんで、よく対応してくれた」と振り返り、「負けている時の戦術としてのプランとしては使える」と手応えを掴んだ。

 プレー面に加え、ピッチ内で自発的に最適解を導き出せるのは成長の証だろう。心境著しい左サイドバックはイスラエルとの最終戦でどんなプレーを見せるのか。グループステージ突破が懸かる大一番で、結果を残せるか注目だ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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