「僕は逆に流されずに」1部残留が懸かった運命の最終節を前に…ボーフム浅野拓磨が口にした決意「やるべきことは変わらない」【現地発】

2023年05月24日 中野吉之伴

諦めることを知らないクラブ

今季リーグ戦24試合出場で2ゴールを決めている浅野拓磨。(C)Getty Images

 1年前に2部降格を免れたボーフムは、2シーズン連続となるブンデスリーガ残留を果たせるだろうか。他クラブと比べて、戦力的な見劣りは否めない。シーズン開幕から6連敗を喫したようにスタートは最悪で、トーマス・ライス監督を早々に解任している。

 トーマス・レッチュ新体制で迎えた9節のフランクフルト戦(ホーム)で今季初勝利を飾ったが、カタール・ワールドカップによる中断を迎えた時点で17位に沈み込んでいた。

 だが、ボーフムは諦めることを知らないクラブだ。かつては1部の常連で、UEFAカップ出場(現ヨーロッパリーグ)経験もある。経営やチーム作りの失敗により、もう立ち上がれないと感じさせたのは一度や二度ではない。でも、そのたびに立ち上がってきた。

 ボーフムは炭鉱町だ。サポーターは選手に、チームに、そして監督に、飽くなき闘争心を求める。勇敢に立ち向かい、限界まで走り、そうやって身体を張って戦う姿に共鳴する。

 選手たちは先日、バーベキュー決起集会を催した。「チーム一丸となるために重要だった」。37歳ながら中盤の底で精力的な動きを見せ、チームを支える主将アントニー・ルジアの言葉だ。

 ここ最近は左サイドバックでの起用が多いCBドミニク・ハインツは、「これまで以上にチームとなれているし、誰もが思ったことを口にできている。チームとしてまとまる。それが大事なんだ」と手応えを口にしている。
 
 やれることはすべてやる。セットプレーのバリエーションは豊富で、ロングスローもレパートリーのひとつ。たとえ右サイドからのスローインでもゴール前まで届く位置なら、左ウイングのクリストファー・アントウィ=アジェイがわざわざ投げにくる。

 敗色濃厚だった33節ヘルタ・ベルリン戦では、アディショナルタイムにCKから途中交代のDFケベン・シュロッターベックが打点の高いヘディングシュートを決めて、アウェーに詰めかけた大勢のボーフムサポーターを熱狂させた。

 興奮冷めやらぬまま、ミックスゾーンで気持ちのこもった受け答えをしていたシュロッターベックの姿が強く印象に残る。

「この勝点はものすごく大事。シーズンが終わった時に決定的な意味を持つはずだ。ファンのサポートはものすごかった。1万2000人もアウェーに来てくれるなんて。試合が終わった後も、僕らに次の試合へ向けての力を与えてくれたよ」

【動画】33節ヘルタ戦で生まれた起死回生の同点弾

次ページ最終節はかならず何かが起こる

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事