マインツ、ヘルタに手も足も出ず敗北……明暗を分けた武藤と原口――ヘルタ・ベルリン 2-0 マインツ

2015年12月21日 遠藤孝輔

戦術も監督の交代策も効果なし…全てが噛み合わないマインツ。

 12月20日のブンデスリーガ第17節、ここ8試合で6勝と波に乗るヘルタ・ベルリンが、直近6試合は無敗だったマインツを一蹴した。
 
 2-0というスコア以上の完勝を収め、3位の座をがっちりとキープ。望外の好成績で、前半戦の全日程を消化した。
 
 選手の距離感が抜群に良いヘルタは、序盤からボール支配率を高めて、マインツのゴールを脅かす。2分、オーバーラップした左SBのプラッテンハルトが鋭いクロスを供給。これに原口が合わせかけたが、フィニッシュには至らなかった。
 
 ボールも人もよく動き、マインツに付け入る隙を与えないヘルタ。しかし、肝心のシュートに結び付ける回数が少なく、なかなかリードを奪えない。
 
 それでも相手にチャンスらしいチャンスを作らせず、試合を優勢に進めていたホームチームは34分、ついに待望の先制ゴールを叩き込む。CFイビシェビッチの落としのパスを受け、前を向いたダリダが秀逸な左足ミドルを突き刺したのだ。
 
 マインツにとっては、そのMFのキックフェイントにあっさり引っかかったブンガート、イビシェビッチとの競り合いに敗れたベルという2CBの対応が悔やまれた。
 
 まさに手も足も出せない状況を変えるべく、マインツがハーフタイムに動く。クレメンスに代えて、デ・ブラシスを投入。しかし、システムではなく、シンプルに同ポジション(右サイドハーフ)の選手を入れ替えるシュミット監督の策は功を奏さず、後半も守勢に回る時間が長くなる。
 
 すると54分、前半からキレのある突破を何度か見せていたカルーが、ヘルタに追加点をもたらす。イビシェビッチのスルーパスに抜け出すと、対峙したブンガートをかわして、右足でしっかりとネットを揺さぶった。
 
 攻めるしかなくなったマインツは、65分にコルドバ、ニーダーレヒナーと2枚のCFをピッチに送り込む。交代したのは武藤とラッツァ。前者はサポートに恵まれず、前線で孤立しがちだったとはいえ、CBラングカンプのマークに苦しんだのも事実で、前半ラストマッチを不完全燃焼で終えることになった。
 
 もっとも、その武藤からのレギュラー奪取を狙うコルドバとニーダーレヒナーも不発。このハイタワー・コンビを活かすべく、ロングボールを増やすわけでもなく、マインツの攻撃は終始噛み合わなかった。終了間際にデ・ブラシスがポスト直撃のミドルを放ったが、結局、最後まで得点を挙げられないまま敗戦……。
 
 低調だったマインツ攻撃陣に対し、ヘルタの前線は素晴らしかった。
 
 82分に幻のゴール(オフサイド判定)をアシストし、89分にドリブルからのクロスで決定機を演出した右ウイングの原口は運動量も多く、頻繁にチャンスに絡んでいた。目に見える得点やアシストが少なくても、レギュラーの座を掴めている理由を改めて見せつけた格好だ。
 
文・遠藤孝輔
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