ACL決勝の第１戦を１−１と引き分けた浦和が、続く第２戦で１−０とアル・ヒラルに勝利。２試合トータル２−１で大会最多３度目のアジア制覇を果たした。

　第１戦と同じく第２戦もアル・ヒラルにボールを握られる展開だったが、組織的な守備で相手の攻撃を跳ね返す。ピンチに陥っても最後の砦であるGK西川が文字通り壁となってゴールを許さなかった。

　カウンター重視の戦い方でアル・ヒラルの勢いを止め、セットプレーからのゴールを守り切って逃げ切りに成功。浦和からすれば、"してやったり"の試合だろう。ヒリヒリするような時間帯でも焦らず、耐え凌ぐ浦和の精神力は、称賛に値。ピンチでも笑顔で味方を鼓舞するGK西川のスタンスが、ある意味浦和のタフさを物語る。

　フィールドプレーヤーに目を向ければ、右サイドバックの酒井がさすがの貫禄を見せつけた。守備だけでなく、素晴らしい攻撃参加で好機を演出するなど、まさに獅子奮迅の活躍だった。
 

　ただ、個人的には酒井以上に印象的だったのがボランチの伊藤だ。我慢強いスタンスで相手のパスコースをできるだけ限定すれば、奪ったボールを力強く前に運んで自らシュートに持ち込む場面もあった。凄まじい緊張感の中、何より運動量と冷静さが求められるポジションで大胆かつ的確なプレーを披露することなど、なかなかできるものではない。86分にピッチを退いたが、その貢献度はチーム屈指ではなかったか。

　統率力に優れたチームを作り上げたスコルジャ監督の手腕はもちろん、この日はスタジアムに詰めかけた６万人のファン・サポーターの存在が大きかった。真っ赤に染まったスタンドからの声援は何物に変え難いパワーとなり、それで選手たちを奮い立たせた。

　ファン・サポーターもクラブの一部。それを堂々と見せつけてくれた浦和は、ACL王者に相応しいチームだ。

 Jリーグの誇り。この日の浦和を褒め称えるなら、この言葉に尽きる。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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