「この日本人の情熱は異彩」28分間でMOMの久保建英をソシエダ番記者が絶賛!指揮官との“不仲説”は「事実無根」【現地発】

2023年05月03日 ミケル・レカルデ

魔法のようなヒールキックで局面を打開

途中出場で結果を残した久保。(C)Getty Images

 ラスト28分間だけプレーしてマン・オブ・ザ・マッチになれるのか? あるいは、その試合の主役に選ばれるには、どんなパフォーマンスを見せればいいのだろうか。

 選手交代枠が3人だった時代、元スペイン代表監督のイニャキ・サエスは、「11人ではなく、14人で戦うことを想定して試合に臨んでいる」と語っていたものだ。イマノル・アルグアシル監督のオサスナ戦におけるゲームプランも発想は同様だった。

 モハメド=アリ・ショとアンデル・バレネチェアのスピードと突破力で相手を疲れさせ、後半の勝負どころでミケル・オジャルサバル、アレクサンダー・セルロト、そしてタケ・クボ(久保建英)を投入する。危険な時間帯もあったが、その指揮官の描いた青写真通りの試合運びを見せたソシエダはアウェーで貴重な白星を挙げた。

 ソシエダは序盤から押し気味に試合を進めた。6分に幸先よく先制し、その後もチャンスを作った。しかしハーフタイムを境にオサスナが巻き返し、押され気味の展開になった63分だった。アルグアシル監督が用意していた「プランB」を発動。セルロトとタケを同時にピッチに送り込んだ。

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 その直後、早速セルロトのポストプレーから巧みな頭でのトラップで足下に収めたタケがそのままドリブルで突進。クロスは相手DFにクリアされたが、対面するマヌ・サンチェスに脅威を与えるには十分だった。

 タケのショーはその後も続いた。67分には魔法のようなヒールキックで局面を打開。縦に抜けたセルロトがクロスをゴール前へと送り込んだが、オジャルサバルのシュートは相手GKセルヒオ・エレーラに弾かれて、クロスバーを叩いた。

 82分、アイエン・ムニョスのロングスローをセルロトが頭で落とし、ミケル・メリーノが右サイドに流したボールだった。展開を予測して、そのスペース走り込んだのはタケ。ボールをキープした後、左足から放たれたファーポストへ巻いていくシュートは惜しくも枠を捉えきれなかった。

 88分、起点となったのは再びセルロトのポストプレー。ボールを受けたメリーノがスルーパスを繰り出すと、タケが呼応。ドリブルで果敢にゴール前に迫り、マヌ・サンチェスと競り合いながらシュートを放つが、セルヒオ・エレーラを脅かすまでには至らなかった。

 ピッチ脇ではアルグアシル監督が「早くポジションに戻れ!」と叫んでいた。タケはもう息も絶え絶えだったが、そのゲキもまた指揮官の信頼の表れだった。
 

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