４月29日に開催されたラ・リーガの第32節で、バルセロナはホームでベティスと対戦。４－０の圧勝を飾った。

　この試合で、マルコス・アロンソと共に59分からピッチに立ったアンス・ファティは、ハーフタイム明けからアップを始めたのだが、ホームの観衆はまったくの無関心だった。

　程なくして、今季限りでの引退を表明したベティスの重鎮ホアキン・サンチェスがアップを始めると、敵ながらリスペクトを示して"ホアキンコール"。さらに故障明けのウスマンヌ・デンベレと15歳のFWラミネ・ヤマルが姿を見せると、カンプ・ノウ全体が沸き、小さくない拍手を送った。
 

　ファティが投入された際も沸くことはなく、クレ（バルサファン）の拍手は交代で下がったフレンキー・デ・ヨングへ向けられたものだった。

　リオネル・メッシから10番を受け継いだアタッカーは、怪我やパフォーマンスの低下で存在感が希薄に。そのうえ、「ロベルト・レバンドフスキのチャンスを横取りして叱責された」「フェラン・トーレスとPKキッカーを巡って揉め事を起こした」と伝えられるなど、最近はネガティブな話題が先行していた。

　ただ、この試合では意地を見せる。３－０で迎えた82分、ボックス内でボールを収めると、仕掛けて左足で鋭いクロス。これがオウンゴールを誘発した。

　惜しくも自身の得点にはならなかったが、ゴールに絡んだファティ。ようやく盛大な拍手をもらったのだった。

取材・文●江國森（サッカーダイジェストWeb編集部／現地特派）

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