【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|ゆっくりと時が過ぎたタイから一転、あっという間の年末…

2015年12月13日 サッカーダイジェスト編集部

タイでの生活が大昔に思えるほど、日本での生活は時間に追われている。

今年1月から9か月間に渡ってチェンマイFCで指揮を執った。再び日本で前に向かって動き出した今、時間の流れの早さを実感する日々だ。写真:

 今年もあとわずか。
 
 Jリーグは先週末にクライマックスを迎え、僕も福岡対C大阪のJ1昇格プレーオフを長居で観戦してきた。熱い試合展開は、先制された福岡が土壇場で追いつき、1-1の引き分けでJ1昇格を決めた。引き分けとはいえ、レギュラーシーズンの勝点差を考えれば、正真正銘の3位での昇格と言えるだろう。
 
 そして、前日にはチャンピオンシップ決勝の第2戦が行なわれ、こちらも1-1の引き分けながら、第1戦を逆転勝利でモノにしていた広島が2戦合計4-3でG大阪を下して日本一に輝いた。
 
 そんなわけで、Jリーグも終わり今シーズンも終わったな~と思っていたら、FIFAクラブワールドカップが開幕し、5日前にチャンピオンシップを戦ったばかりの広島がオークランド・シティに勝利し、準々決勝に進出。13日にアフリカ代表のマゼンベと戦うことになった。
 
 年末には天皇杯があり、まだまだ日本のサッカーは続く。
 
 それにしても日が経つのは早い。年々、その早さを感じているが、そのたびに思い出すのが小学生時代の夏休みだ。
 
 1か月半の長い休み。サッカーの試合・遠征をどれだけ重ねても夏休みは終わらなかった。宿題の『夏休みの友』も、夏休みが終わる数日前までやらない。親戚の家に遊びに行き、ラジオ体操に出て、プールで毎日泳ぎの練習。それでもまだ夏休みは続く。
 
 あの時の休みと1年では、どちらのほうが長いか? そんなどうでもいいことを考える(笑)。同じくらいの時間軸なのか? 12歳の1か月半は50歳の12か月に相当するのか!?
 
 これは身体が小さく、考えることの少ない子どもから、身体が大きくなり、考えるべきことが増え、大人になった証拠なのであろう。
 
 タイから戻った直後は、日本での時間の流れが非常に早く、日々の生活に違和感を覚えつつ、『肩の力』を抜いて生きようと思いながら、それが1か月も経てば、『必死』に前へ進もうとしている自分がいる。
 
 タイでは1日が長くゆっくり進んでいた。朝は心身統一の体操をやり、友人と話しながら美味しいコーヒーとパンの朝食をとり、お昼にゆっくりランチをしてもまだ練習の時間ではない。午前、午後でトレーニングをしても、その前後の時間を有効に使える。
 
 気候、アクセス、人、ルール……、周囲のあらゆるものに縛られるストレスを感じることなく、時間をゆっくり使える所でもある。
 
 一方で日本は、すべてが休まず前へ進んでいるように見える。気候も暑くなったり、寒くなったり、雨が降り、風が強い日があり。交通規則をはじめ全てのルールが厳しく、一言一言が問題になる。
 
 15分で行ける場所が1時間掛かり、待ち合わせに遅れたら信用を失う。あっという間に時間は過ぎていく。タイでの生活がだいぶ昔のように思える。昨日のことのようにではなく、昔のことのように……。
 
 日本に戻って来てあっという間だ。タイのことはもはや大昔のように感じる。矛盾しているように感じるがステージが変わってまた必死に前進しようとすれば時間は早く過ぎていくのだ。氣づいたら年越し蕎麦を食べてまもなく2016年がやってくる。
 
 ここからの年末、まだまだ何が起こるかは分からないが。
 
2015年12月11日
三浦泰年
 
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