【高円宮杯CS】鹿島ユースに栄冠を引き寄せた平戸太貴の“キーマン封じ”。プロ1年目へ背水の決意も!

2015年12月13日 平野貴也

「熊谷監督の下で100パーセントで取り組む姿勢が大切だと教えてもらった」

攻守に輝きを放った鹿島ユースの平戸。来季はトップチームへの昇格が決まっており、1年目から勝負を懸けるつもりだ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 中盤に君臨した背番号8が攻守に躍動した。
 
 高校年代の日本一決定戦「高円宮杯U-18サッカーリーグ プレミアリーグチャンピオンシップ」が12日に埼玉スタジアム2002で行なわれ、EAST王者の鹿島アントラーズユースが1-0でWEST王者のガンバ大阪ユースを下して初の栄冠に輝いた。
 
 中盤の攻防を制したことが勝因だった。2シャドーの位置に入った8番のMF平戸太貴は、G大阪の生命線であるダブルボランチを執拗にけん制。特にU-18日本代表経験のあるMF市丸瑞希にはとりわけ注意を払った。
 
 平戸は「相手は市丸選手がキーマンになる。彼を潰さないと、自由に展開されるし、縦パスも入れられてしまう。自分が潰しながら攻撃に出て行って、中盤の主導権を取れればいいと思いながらやっていた。個人的には、うまくやれたのではないかと思う」と手応えを話した。
 
 熊谷浩二監督も「(相手のダブルボランチが)ガンバさんのポイントになると思っていたので、そこは平戸と西本(卓申)をぶつけながら、逆にそこで違いを作り出せるような入りをした。チームとして、守備に関しては満足できるところになっている」と評価を示した部分だ。
 
 結果、立ち上がりの決定機を逃したG大阪が次第に攻撃面で停滞。鹿島は守備からリズムを作って先制点を奪ったことで優位に立った。
 
 先制の起点となったのも平戸だった。58分、左サイドで縦へパスを送ると、2シャドーで組んだMF西本がドリブル突破からクロス。中央で待ち受けた右MF田中稔也のゴールにつながった。
 
 平戸は狙いが的中したゴールシーンをこう振り返った。
「相手は両SBが高い位置に出るので、その背後を使って同サイドで攻めようとチームとして狙いを持っていた。自分から西本に縦パスを入れたところから始まって、相手と入れ替われるかなと思ったとおりに突破してくれて、クロスから点が入った」
 
 平戸は元々、主に攻撃的な役割を担っていた。しかし、主将の千葉健太が「この1年で攻撃から守備への切り替えが早くなった」と認めるように、ボランチでも攻守に多く関われるようにプレーの幅を広げて来た。
 
 平戸自身も「守備で自分が奪えば攻撃につなげられるし、攻守両面で存在感を出したいと思っている。自分のところでボールを奪うとか、味方からのパスを受けて起点になって展開する部分は、昨年より出来ている部分だと思う」と自信を深めている。
 
 来季からは、トップチームに昇格。得意な部分だけでなく、泥臭く戦うこともできるようになった中盤の核は「熊谷監督の下で、100パーセントで取り組む姿勢が大切だと教えてもらった。プロになったら、人が注意してくれるわけではないし、一生懸命に本気でやっていく。意識的な部分では自分で気をつけてやらなければ、プロになってもすぐに終わってしまう」と話すなど、プロとしての自覚も芽生え始めている。
 
 ユースで培った力と姿勢を持って、プロ1年目から勝負をかける。
 
取材・文:平野貴也(フリーライター)
 
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