【都並敏史が語るJ30周年 #4】選択肢が増えたセカンドキャリア。息子にも伝えた「真摯にサッカーと向き合い、100%の姿勢を示す」

2023年04月22日 元川悦子

この30年間で理想モデルが確立

JFLの浦安を率いる都並。今季序盤は苦戦も「ここからが本番」と気合を入れる。写真:元川悦子

 Jリーグ30周年を記念した特別連載インタビュー。現在はブリオベッカ浦安で監督を務める元日本代表DFの都並敏史が登場。全4回のシリーズ最終回をお届けする。

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 2022年のカタール・ワールドカップ(W杯)でドイツ・スペインの両優勝経験国に劇的勝利を挙げ、4度目のベスト16進出を果たした日本代表。悲願の8強入りはまたしても叶わなかったが、日本サッカー協会は森保一監督の続投を決断。1人の指揮官が2度のW杯を目ざすことになったのは、彼が初めてだ。

 森保監督とともに「ドーハの悲劇」を経験した都並敏史は、「日本サッカーの地固めをするべき人材としては最適」と語り、最大級のリスペクトを払っている。森保監督の人柄や能力をよく分かっているからこそ、こういう言葉が口をついて出るのだろう。

「森保は地道にサッカーを追い続けた人の成功例。コツコツと努力して、階段を一歩ずつ駆け上がっていくという生き方をしてきたドーハ組の出世頭だし、ある意味、『農耕民族の象徴』みたいな部分もある。人格的に誰もが認める人材が、日本のトップに立っているのは本当に素晴らしいこと。そこはみんなに認めてほしいですね」と、かつての代表仲間は力を込める。

 2018~22年までの4年間には、森保監督の選手選考や采配、東京五輪でメダルを逃した結果などに対して、批判の声が挙がったこともあった。カタールW杯後には外国人監督を推す意見も確かにあった。そういった状況を踏まえつつも、都並は「今は森保が必要」と考える。
 
「日本はワールドカップで4度、16強に入ったけど、恒常的に8強以上を維持したり、優勝するレベルには辿り着いていない。一足飛びにそういう高い領域には辿り着けない。今はそのために地固めをする重要な時期なんです。

 その人材として森保はベスト。代表選手時代によく同室になった福田正博の長い話を誰よりもよく聞いていたように『聞く力』に優れていますし、日本サッカーを支える人たちへの感謝を忘れない。常に敬意を払うというスタンスは、日本人にとって大切な和を作るのに不可欠。彼を心から応援したいですね」

 かつての代表レジェンドである岡田武史、西野朗の両監督に続き、森保監督が一定の成功を収めたことで、「代表経験者が代表の指導者になって日本のサムライ魂を引き継いでいく」という理想モデルが、この30年間で出来上がったのは確か。

 今の第二次森保ジャパンには、98年フランスW杯で10番を背負った名波浩コーチ、主にアルベルト・ザッケローニ監督体制で1トップを担った前田遼一コーチも加入しており、その傾向はより強まっていると言っていい。

 今年は中村憲剛・内田篤人の両JFAロールモデルコーチもJFA公認S級ライセンス講習会に参加中。W杯経験者の監督が代表を率いる時代も、そう遠くなさそうだ。

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