「あの16番、何者だ」大観衆をザワつかせた流経大柏の2年生FW柚木創。プレーの記憶を積み重ね、再現性を持ったアクションで勝負!

2023年04月20日 安藤隆人

後半の優勢、ほとんどのチャンスに絡む

高度なテクニックで存在感を見せた柚木。写真:安藤隆人

 プレミアリーグEAST第3節・流通経済大柏と前橋育英の一戦。会場はいつもの流通経済大柏高校のグラウンドではなく、隣の茨城県にある流通経済大学龍ヶ崎フィールド。

 この日は第二試合に関東大学1部リーグ・流通経済大対東京国際大の一戦が組まれており、高校と大学総出の重要な一戦だった。ゴール裏には大学、高校のサッカー部員だけではなく、下部組織のクラブドラゴンズ柏、流通経済大柏中学サッカー部の選手も応援に駆けつけていた。

 その大観衆の中で視線を集めたのは、1人の2年生FWだった。流通経済大柏の背番号16・柚木創は、足に吸い付くようなトラップからのドリブル、アウトサイドを駆使した相手の意表を突くパス、そして積極果敢な前線からのチェイシングを見せ、ピッチ上で大きく躍動していた。

 この試合、流通経済大柏は思わぬ展開だった。開始早々の30秒、GKとDFの連係ミスから痛恨のオウンゴールで前橋育英に先制点を献上してしまった。動揺を見せるチームのなかで、柚木はチームに流れを取り戻すべく、前述したように最前線で豊富な運動量とハイレベルな技術を見せて攻撃の中枢となった。

「あの16番、何者だ」、「あいつだけレベルが違う」とゴール裏で応援していた大学生も舌を巻くほど、際立つプレー。後半に入ると流通経済大柏は完全にペースを掴み、45分間をほぼ相手コートで過ごした。
 
 そして71分には右からのクロスに途中出場のMF笠松良緒が飛び込むと、前橋育英GK雨野颯真に倒されてPKを獲得。しかし、笠松が放ったPKはGK雨野のセーブに阻まれた。

 圧倒的に攻め込んでいてもゴールを決められず、PKまで止められてしまうという流通経済大柏にとっては嫌な展開となったが、ここで柚木がさらにプレーのギアを上げた。

 78分、寄せてきた相手を嘲笑うかのように、ペナルティエリア内左に走り込んだMF山口裕也に浮き球のスルーパスを通す。82分にはペナルティエリア右外でボールを受けると、2人がかりで前を塞ぎに来た相手に対して、スッとライン裏のスペースに抜け出したFW葛西亮太に右アウトサイドから相手の股を抜くスルーパスを通し、GKと1対1に。葛西のシュートはGK雨野のビッグセーブにあったが、会場からは大きなどよめきが起こった。

 85分には左CKを得ると、柚木が右足で直接狙った。これも、再三ビッグセーブを見せるGK雨野によってかき出されたが、チャンスのほとんどに柚木が絡んでいた。
 

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